Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 潔 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20302565)
関根 康雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70312957)
伊豫田 明 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10302548)
安福 和弘 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60372356)
中島 崇裕 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (20400913)
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Research Abstract |
本研究は,肺癌における予後、薬剤感受性を網羅的遺伝子発現解析,異常メチル化解析,および遺伝子変異解析により明らかにすることを目的に行った。(1)まず,千葉県がんセンターで独自に開発した11,000個の遺伝子からなる小児がんDNAチップを用いて238例の肺癌切除症例における網羅的遺伝子発現解析を行った。得られたデータを各種遺伝子のスクリーニングとして使用した。次に,千葉大学呼吸器外科で切除を行った238例の肺癌症例について以下の検討を行った。(2)Interleukin-12受容体のサブユニットを形成するIL-12Rβ2遺伝子,転移形成に重要なCXCL12遺伝子,浸潤増殖に重要なWnt路阻害遺伝子(sFRP-1,sFRP-2,sFRP-5,Wif-1,Dkk-3)の異常メチル化の検討を行った。また,CXCL12の受容体であるCXCR4と,Wnt経路の下流であるβ-cateninの蛋白発現について検討した。(3)さらにEGFR遺伝子,KRAS遺伝子の突然変異検索を行った。その結果,肺癌においてIL-12Rβ2異常メチル化は高頻度に認められ,特に肺腺癌において本遺伝子の異常メチル化は予後不良因子となった。CXCL12異常メチル化は非小細胞肺癌において高頻度に認め,予後不良因子であった。CXCL12遺伝子の原発巣における異常メチル化は,CXCR4高発現とともに転移形成に重要であり,その解析は有用な予後予測因子になる可能性がある。また非小細胞肺癌においてWnt経路とEGFR経路は高頻度に異常を来しており,さらにそれらの異常には密接な関連が認められた。その相互作用は,非小細胞肺癌において重要な役割を果たしていることが示唆された。本研究は肺癌の発癌メカニズム解明,予後改善に寄与すると考えられる。
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