2007 Fiscal Year Annual Research Report
悪性胸膜中皮腫に対するMCI-186を用いた新たな分子標的治療法の開発
Project/Area Number |
18591554
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
割石 精一郎 Kochi University, 医学部附属病院, 講師 (00403882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博教 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (20335946)
久米 基彦 高知大学, 医学部附属病院, 助教 (80346725)
穴山 貴嗣 高知大学, 医学部, 助教 (30403893)
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Keywords | MCI-186 / 悪性胸膜中皮腫 / VEGF / NF-kB / 増殖抑制 |
Research Abstract |
本研究は、悪性胸膜中皮腫に対して抗酸化物質であるラジカット(MCI-186)投与による腫瘍増殖抑制硬化について検証し、さらにそのメカニズムについて解析することを目的とている。特に、近年悪性胸膜中皮腫細胞増殖への関与が示唆されている血管内皮増殖因子(VEGF)産生に焦点を当てて実験を進めた。 インビトロ実験では、悪性胸膜中皮腫細胞株MSTO-211HへのMCI-186添加にて細胞増殖抑制効果を検証とともに、細胞増殖に関わる血管内皮増殖因子VEGF産生、およびVEGF産生の主要なシグナル分子であるNF-kB活性化についてウエスタンブロット法(IkBリン酸化)で解析した。結果として、MCI-186添加にてMSTO-211Hの細胞増殖の抑制が確認されたが、その増殖抑制には至適濃度の存在が示唆された。またVEGF産生についてのウエスタンブロット法での検討では、MCI-186添加によるVEGF産生の抑制が確認された。NFkB活性化の指標のひとつであるIkBリン酸化も抑制傾向がみられたことから、MCI-186が細胞内シグナリング、特にNFkB経路を抑制することにより血管増殖因子産生を抑制していることが示唆された。 ヌードマウス背部腫瘍によるインビポ実験では、MSTO-211H1.0x10^6個を背部皮下に注入し、コントロール群とMCI-186投与群について腫瘍径の増殖の程度およびマウスの体重の変化を記録した。 結果では、MCI-186投与群において、有意差は得られなかったものの、腫瘍細胞の増殖抑制傾向を認めた。現在、腫瘍内のVEGFの免疫染色を含め解析を継続している。 今回の研究では、MCI-186による悪性胸膜中皮腫細胞の増殖抑制のメカニズムのひとつとして、VEGF産生抑制が関わっている可能性が示唆された。さらにNFkB抑制もその抑制傾向がみられたことより、抗酸化物質による細胞内シグナル分子制御の可能性、さらには、腫瘍増殖に関わる増殖因子産生制御の可能性が示唆された。
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