2008 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療や人工臓器埋め込み等を目的とした新規的なリニアアレイ圧力センサーの開発
Project/Area Number |
18591561
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤本 哲男 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 教授 (50267473)
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Keywords | 人工臓器 / 再生医療 / リニアアレイセンサー / 循環シミュレータ / 血圧測定 |
Research Abstract |
従来より使用されてきた圧力センサーは、平板型のリニアアレイ圧力センサーであり、共通のダイアフラム上に複数のエレメントが並んでいるため、エレメント間の相互の力学的影響つまりクロストークが問題になる。またこの方式では平板のダイアフラムを使うことからセンサーの感度を上げることも困難である。本研究の応用対象となる人工臓器や生体組織における圧力分布を高精度に測定するには新たな方式が必要とされる。従来用いられていた平板リニアアレイセンサーにおける感度とクロストークという問題を解決するために新規的な溝付きのリニアアレイセンサーを考案して実用化を目指している。この新圧力センサーでは、シリコーンの単結晶平板にセンサー長手方向と垂直な方向に溝を設け、それぞれのビーム面上にはひずみゲージを配置している。このセンサーの特徴は、溝を設けたことにより平板では問題であった感度とクロストークの問題を解決する可能性が十分にあることは有限要素法による構造解析により予測された。センサーの寸法は0.5x4.3x0.1mmという微小なシリコーンチップ上に10組の圧力センサーをフォトエッチング法により製作した。昨年度まではこの試作センサーの荷重負荷試験を実施した結果、ピンポイント荷重の0.1mm変位に対して出力電圧は0.8v変化するという新センサーの高感度が明らかとなり人工臓器や生体組織における圧力分布を測定するために十分な性能であると考えられた。今年度はセンサー上に設置した抵抗要素の方向と出力の関係について重点的に荷重負荷試験を行い、その結果を有限要素法による構造解析で考察した。試験結果はセンサーの短軸方向の抵抗要素では長軸方向と比べて感度は劣るもののクロストーク特性では著明な優位性が認められた。短軸方向の抵抗要素について有限要素解析結果と比較すると試験結果の出力分布と同方向のひずみの分布に相関がみられた。この相関から構造解析によるセンサー出力の予測が可能となり、センサーの設計方法が確立できることが示唆された。以上の成果は今年度の国内外の関連する学会で報告した。
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