2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己細胞と生分解性ポリマーによる高圧系再生血管の作成
Project/Area Number |
18591564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
東 隆 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70328467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 博身 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50075511)
新岡 俊治 東京女子医科大学, 医学研究科, 教授 (20192122)
松村 剛毅 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20297469)
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Keywords | 再生医療 / ティッシュエンジニアリング / 再生血管生 / 体吸収性ポリマー / 骨髄細胞 / 高圧系再生血管素材 / 内皮細胞 / 動脈グラフト |
Research Abstract |
我々は生体吸収性ポリマーを足場(Scaffold)として、自己骨髄細胞をそれらに播種培養することで生体内で目的組織を作製するTissue Engineeringの手法を用いた再生血管の研究を行っている。ビーグル犬を用いた下大静脈移植術の実験モデルを確立し、再生組織の成熟度およびその経時的変化、播種した骨髄細胞のポリマー内での影響を解明してきた。それらの基礎的研究の成果を受け、2000年から院内倫理委員会承認のもと、Tissue-Engineered Vascular Autograft(TEVA)の臨床応用を開始し、良好な中期遠隔成績を得ている。しかし現在、TEVAの適応はその耐久性の問題から下大静脈または肺動脈といった低圧系に限られており、高圧系動脈グラフトとしての使用に関しては未知である。本研究の要旨は、TEVAの高圧系における適応の探究である。従来静脈用として使用していたポリマーの組成を変更し、より吸収期間の長いポリ2乳酸(PLLA)を補強材として用いた。これをイヌ下行大動脈へパッチ(30×10mm)として移植し、1、3、6ヶ月経過観察し組織を評価した。採取した組織の肉眼像では破裂・瘤化症例は認められなかった。1ヵ月の時点でパッチ内腔側は内皮化され、免疫染色ではvon Willebrand Factor陽性の血管内皮細胞が内腔面に一層に並ぶ様子が確認された。マッソン染色では1ヵ月の時点ですでに血管平滑筋細胞が認められ、これらは経時的に増殖する傾向がみられた。また線維芽細胞や膠原線維などの細胞外組織がポリマーのスポンジ間隙で増殖し、時間経過とともにより強固な組織を形成していることが確認された。生化学的な評価としてポリマー内のVascular Endothelial Growth Factor(VEGF)およびsmooth muscle myosin heavy chain(snMHC)のmRNAの発現量を計測、比較した。内皮化が進んでいると思われた1ヵ月の時点で、VEGFの発現は有意に高く、その後経時的に漸減し6ヶ月の時点ではNative組織と同様の値となった。またsmMHC mRNAの発現量は6ヶ月の時点でNative組織の約60%の値まで達した。 これらの結果で、今回新しくデザインした吸収期間の延長を図った生体吸収性ポリマーは、高圧系再生血管素材として使用できる可能性が示唆された。移植後より早期に、より成熟した血管組織が構築できるよう、初期ポリマーのさらなる至適条件の検討や、ポリマーへの骨髄細胞播種の影響を評価していく予定である。
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Research Products
(5 results)