2006 Fiscal Year Annual Research Report
胸膜中皮腫に対する新しい腫瘍抗原の探索と診断及び治療への応用
Project/Area Number |
18591570
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
菅谷 将一 産業医科大学, 医学部, 助手 (40352306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
安元 公正 産業医科大学, 医学部, 教授 (30150452)
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Keywords | 胸膜中皮腫 / 腫瘍抗原 / 抗体 / SEREX |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫は予後不良の悪性疾患であり、その大半は石綿暴露で発生すると言われている。早期発見が困難であり、血清診断の補助となるマーカーの開発が望まれる。また、悪性胸膜中皮腫に対する標準的治療法は確立されていないため、手術のみならず、抗癌剤、放射線治療を含めた集学的治療及び免疫療法などの新しい治療法の確立が重要である。本研究では、悪性胸膜中皮腫における腫瘍内浸潤B細胞に由来する抗体の認識する腫瘍抗原の同定を試み、診断や治療に有用な抗原を選定することを目的としている。平成18年度は悪性胸膜中皮腫症例5症例の手術時に切除した腫瘍をSCID mouseの皮下に移植し、マウスより血清を採取した。腫瘍を移植した全てのSCID mouse血清中に腫瘍内浸潤B細胞が産生するヒト型IgG抗体を検出した。外科切除した胸膜中皮腫の腫瘍組織及び当科で樹立した悪性胸膜中皮腫の細胞株(K921MSO)よりcDNA libraryを作成し、SEREX法にてスクリーニングを行った。現在までに11の抗原遺伝子を同定しており、その中には細胞周期や細胞分化を制御する機能に関与する抗原遺伝子が含まれている。そのうち7つは機能既知の遺伝子であり、4つはゲノムプロジェクトなどで報告はされているが機能が未知の遺伝子であった。胸膜中皮腫組織と正常細胞におけるmRNAの発現をRT-PCR法で調べたところ6つは中皮腫組織のみに過剰発現しており、腫瘍関連抗原と考えられた。 平成19年度は悪性中皮腫組織におけるこれらの抗原の発現の定量化や、ELISA法を用いた患者血清中におけるこれらの抗原に対する抗体検出の定量化を行い、これらの抗原の発現量や抗体価と悪性中皮腫の臨床像との相関等について検討する予定である。
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