2007 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍に対する血管内皮前駆細胞を用いた血管新生抑制療法
Project/Area Number |
18591576
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高野 晋吾 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50292553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大根田 修 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30311872)
今川 重彦 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60231164)
植田 琢也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (40361448)
山下 年晴 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (50400677)
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Keywords | 腫瘍血管内皮細胞 / 脳神経疾患 / 血管新生抑制 / 血管内皮前駆細胞 / グリオーマ / 低酸素 / SDF1 / CXCR4 |
Research Abstract |
EPCへの血管新生抑制因子の遺伝子導入 各種遺伝子導入(fugene 6、レトロウイルス)を試みるも導入後のEPCがtoxicityで生存できない状態であったため、EPCへの遺伝子導入ではなく、EPCの作用を抑制する方法として腫瘍血管へのホーミングに重要なSDF1ケモカインに注目した。 SDF1およびCXCR4を標的とした血管新生抑制療法 SDF1とその受容体CXCR4はヒトグリオーマ組織の免疫染色では腫瘍細胞と腫瘍血管に発現がみられ、特に腫瘍辺縁より離れた血管でもSDF1の発現がみられた。また、2例のヒト膠芽腫から腫瘍血管内皮細胞(GBMEC)を分離培養し、正常血管内皮細胞(HUVEC)と生物学的差異を検討した。GBMECは血管新生因子VEGF、SDF1ケモカインの発現が強く見られ、逆にHUVECでみられるVEGF受容体、CXCR4の発現がみられなかった。従ってVEGFに対する増殖能はHUVECより遅く、SDF-1を多く含むヒトグリオーマ細胞(U87)の上清液をchemoattractantとする内皮細胞遊走能が殆どみられなかった。また、GBMECのSDF1発現は低酸素で亢進した。これらのGBMECとHUVECの遺伝子発現、血管新生能、低酸素での反応の違いから、新たにSDF-1を標的とする血管新生抑制療法を今後検討していく。SDF1は同時にグリオーマ細胞の浸潤能も増強するケモカインで、SDF1の抑制剤であるAMD3100、tannic acidがその浸潤能を抑制することから、SDF1を標的とする治療はグリオーマの血管新生、浸潤を抑制する治療となりうることが明らかにされた。
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