2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラット損傷脳に対する内在性自己修復能を応用した再生治療と、効果の年齢依存性の検討
Project/Area Number |
18591579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
田中 純一 Teikyo University, 医学部, 助教 (00345191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 信隆 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60214673)
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Keywords | 脳神経疾患 / 再生医学 / 神経科学 / 脳虚血 / 老年医学 |
Research Abstract |
我々は「内在性自己修復能を応用した移植によらない再生治療」を目指してきた。移植にまつわる問題を回避できる有望な治療法である。また、再生現象を証明する手段として広く普及したBrdU腹腔内投与による中枢神経系新生細胞標識法は、感度が不十分な上に解析が不連続なため再生現象を過少評価し、微細な再生現象の解析にはしばしば向かない。以上から代表者の課題はA)年齢の拡大、B)部位の拡大、C)解析手段の改善、の3点である。AおよびB)ラットハンチントン病モデルの線条体に注目。損傷後早期に成長因子を脳室内投与し、若年および加齢成体の2群に分類。両群とも内在性再生が認められ、成長因子の投与により若年、加齢とも傾向として、対照群に比して形態学的にニューロンが増加。免疫組織学的にもニューロンへと分化した新生細胞が増加した。再生細胞は、通常と異なってコリナージックニューロンの比率が高い傾向を示した。行動学的解析から、若年・加齢の両群共に、治療群で成績が改善し、機能的改善傾向を認めた。C)に対し、投与経路として脳室内を選択。ラット若年成体の腹腔内、脳室内それぞれに、低および高用量群を設定、急性期と慢性期の2点で解析を行う。パイロット試験では、脳室内投与は、高濃度腹腔内投与の効率に迫る効果を認めている。ところで、本実験において重要なポイントをなす脳室内投与は、感染により重大な修飾を受けるため無菌的操作を要するが、当方の滅菌装置の故障により、動物作成数に限りが生じ、初年度の計画の過半を次年度に繰越す必要に迫られた。19年度、滅菌過程を回復させ、作成動物数を増やし、本格的な追認作業に入った。AおよびB)に関しては組織形態学的、免疫組織学的および行動学的な全ての過程で観察個体数を増やし、その多くの部分で有意差を認めている。最終年度には論文報告できる目処がついた。C)に関しては、モデルの作成をほぼ完了した。
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