2007 Fiscal Year Annual Research Report
嗅粘膜由来神経前駆細胞を用いた神経再生の基礎的研究
Project/Area Number |
18591590
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
貴島 晴彦 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (10332743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 洋一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20252661)
岩月 幸一 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80346204)
押野 悟 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40403050)
平田 雅之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30372626)
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00201046)
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Keywords | 嗅粘膜移植 / 脊髄損傷 / ラット / 神経軸索再生 / 運動機能 / 膀胱機能 |
Research Abstract |
19年度は18年度にひきつづき 特に慢性期ラット脊髄損傷モデルに対する嗅粘膜移植による運動機能改善とその治療効果の発現メカニズムの解析を行った。完全脊髄離断モデルを作成し、2週間後に同系のラットからの嗅粘膜を移植した、嗅粘膜移植群では運動機能の改善とともに膀胱機能の改善を認める。移植から8週後に膀胱機能を膀胱内圧測定で解析したところ、コントロール群では不随意収縮がみられるのみであったが、嗅粘膜移植群では不随意収縮も観察されるものの随意的と考えられる膀胱収縮と排尿がみられている。 移植から8週後の組織学的検索では移植部にはp75NGFRおよびGFAP共に陽性である嗅粘膜に含有されるOEC由来と考えられる細胞を認めた。また移植部の中枢側断端に神経細胞特異的マーカーであるTUJ1陽性の強い集積を認め、軸索の伸張が示された。 またコントロール群に比べ嗅粘膜移植群では移植部での空洞形成が少ない傾向が認められた。この空洞の形成は、運動機能改善とは負の相関を示していた。 さらに、感覚運動野にBDAを注入し皮質脊髄路を観察したところ、嗅粘膜移植群では移植部を超え遠位部でもBDAが観察され、ここでも皮質脊髄路の再構築が示唆された。これらのことから慢性期脊髄損傷モデルに嗅粘膜移植により運動機能、膀胱機能の改善には、神経軸索の再生・伸張が関与している。 嗅粘膜から神経前駆細胞を培養・単離する研究を本年度にも試みたが、安定した結果を得ることはできなかった。
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