2007 Fiscal Year Annual Research Report
組織プラスミノーゲンアクチベーターの神経毒性を抑えた血栓溶解療法
Project/Area Number |
18591613
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加納 恒男 Nihon University, 医学部, 准教授 (40277413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
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Keywords | 血栓溶解療法 / 神経毒性 |
Research Abstract |
発症後3時間以内の急性期脳梗塞患者に対してtissue plasminogen activator(tPA)の静注療法が施行されている。tPAは閉塞脳血管を再開通させることにより、3ケ月後の患者の機能予後を改善させるが、この一方で、tPAは神経毒性を併せ持つことが、動物実験において報告されている。そこで我々は、独自に開発したラット脳塞栓モデルを用いてtPAによる血栓溶解療法を行い、ラジカルスカベンジャーであるエダラボンをtPA静注に先立って投与しておくことにより、tPAの脳血管外への漏出が抑制されるかどうかを検証した。tPAは脳梗塞導入後30分後あるいは2時間後に30分かけて静脈内投与し、脳内のtPA含有量をELISA法を用いて定量評価した。また、脳虚血導入ならびにtPA投与後に再開通が生じていることを、Laser Doppler Flowmeterを用いて確認した。この結果、脳梗塞導入30分後にエダラボンとtPAを同時投与した群びは、tPA単独投与群と比べて、脳内のtPA含量は有為に減少した。エダラボンは脳保護薬として脳梗塞患者に投与される薬剤であるが、脳血管内皮細胞に対する保護作用を介して、tPAの脳血管外漏出を抑制したものと考えられる。したがって、脳梗塞患者に対する、エダラボンとtPAのcombination therapyは、tPAの神経毒性を軽減しつつ、閉塞脳血管の再開通を得る上で有効な治療法である。
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