2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血後の環境要因が与える脳機能再生メカニズムの解明:脳血流量と神経再生との関連
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18591619
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
横田 千晶 National Cardiovascular Center Research Institute, 内科・脳血管部門, 医長 (80300979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久下 裕司 北海道大学, 大学院・医学研究科・先端医学講座・トレーサ情報分析学分野, 教授 (70321958)
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Keywords | リハビリテーション / 局所脳虚血 / Enrich environment / Brain derived neurotrophic factor |
Research Abstract |
目的:脳卒中後の早期からの適切なリハビリテーションは、脳機能回復に不可欠である。小動物を用いた実験的研究においても、環境の充実が機能予後の改善をもたらすことが報告されている。しかし、運動を含む環境の充実が、どのようなメカニズムを介して脳機能回復に繋がるのか、未だ明らかにされていない。本研究の目的は局所脳虚血ラットを用いて、環境刺激による機能回復に関与する遺伝子・蛋白を同定することで、そのメカニズムを明らかにすることである。 方法:動物は、一過性中大脳動脈閉塞を行った局所脳虚血ラットを用いた。ラットを通常ケージで単独に飼育する群(Standard群)と運動器具が備えられた充実した環境で飼育する群(Enrich群)に分けた。虚血前後と2週間,4週間後の神経、運動機能評価を行った。4週間評備後に屠殺し梗塞巣サイズ、脳組織での遺伝子、蛋白発現を検討した。梗塞サイズはMAP-2染色を、遺伝子発現はmicroarray analysis、real time quantitative RT-PCR、蛋白発現は免疫組織染色を用いた。 結果:梗塞巣サイズは両群間に有意差はなかった。運動機能はEnrich群がStandard群に比し有意に改善した。Microarray analysisより、Enrich群ではBrain derived neurotrophic factor(BDNF)、Early growth responsel,2遺伝子発現がStandard群に比べて低下しており、RT-PCRでも同様な結果であった。BDNF蛋白発現は、Enrich群がStandard群に比べて低下していた。 考察:我々の研究より、神経保護・再生に促進的に作用するとされてきたBDNFが環境刺激によって低下し、脳虚血後の機能回復に関与している可能性が示された。本研究結果を解釈する上で、脳梗塞発症後の時間経過によるBDNFのはたらきに違いがある可能性が考えられた。そこで現在、発症2週間後のBDNF発現についての追加実験を行っている。更に、BDNFはその前駆体と相反する作用を有するとの報告があり、今回の結果が前駆体の発現を反映した可能性が考えられた。現在、Western blottingを用いてBDNF前駆体の発現の有無を検討している。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Decrease in brain derived neurotrophic factor expression is associated with functional recovery in an enriched environment after experimental stroke2008
Author(s)
Shono Y, Kuge Y, Yokota C, Harada A, Kido S, Kokame K, Inoue H, Hotta M, Saji H, Minematsu K
Organizer
International Stroke Conference 2008
Place of Presentation
New Orleans, USA
Year and Date
20080220-22
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