2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷における脊髄横断モデルと脊髄圧挫モデルの病態比較
Project/Area Number |
18591625
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
富田 勝郎 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (00092792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 範夫 金沢大学, 医学部附属病院, 助教授 (70214674)
村上 英樹 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (70334779)
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Keywords | 脊髄損傷 / 脊髄切断 / 腫瘍脊髄骨全摘術 / 脊髄腫瘍 |
Research Abstract |
骨肉腫などの原発性脊椎悪性腫瘍に対し、脊髄に浸潤した悪性腫瘍を摘出するには根治治療として脊椎と脊髄を同時に一塊に切断し摘出する必要がある。現在、人の脊髄を意図的に切断した症例報告は1例しかなく、さらに脊髄を切断した場合、生体にどのような影響が生じるのかという研究報告はない。 我々は成犬の脊髄を腰髄レベルで切断し脊髄誘発電位を測定した。脊髄を鋭利な尖刃で切断すると横断面から約半椎体レベルまで電位が完全消失した。一方、脊髄を糸で結紮(圧挫)すると電位の消失は約2椎体レベルまで消失した。また、尖刃で切断したものは麻痺の上行が1椎体レベルであったのに対し、糸で結紮したものは数時間かけて約2椎体レベルまで麻痺が上行した。 また1週間後に脊髄誘発電位を測定した場合も、尖刃で切断したものは麻痺の進行が止まっていたのに対し、脊髄を結紮した犬では麻痺が徐々に頭側に進行していた。 犬の脊髄を切断もしくは結紮した1週間後に、脊髄の病理標本を採り観察した。脊髄切断モデルでは切断面から約半椎体まで脊髄が挫滅していたのに対し、脊髄結紮モデルでは脊髄灰白質が練り歯磨き粉のように頭側に突出していた。 このように、脊髄を結紮するとTooth paste phenomenon(練り歯磨き粉現象)により脊髄灰白質が頭側に突出するため、脊髄を摘出する際には結紮すべきではないと考えた。また脊髄を尖刃で切断したものは結紮に比べ、麻痺の上行が軽度であったことを考慮すると、脊椎と脊髄を同時に一塊に摘出する際は結紮ではなく、鋭利な尖刃で切断すべきであると考えた。
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