2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591628
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大野 貴敏 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60281052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正志 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40260575)
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Keywords | ユーイング肉腫 / EWS-Flil融合遺伝子 / オーロラキナーゼ / 骨軟部腫瘍 / 転写因子 / 癌遺伝子 |
Research Abstract |
ユーイング肉腫の約90%に存在する融合遺伝子EWS-Flilは,RNA結合タンパク質EWSとEts family転写因子の1つFlilの融合によって生じ,強力な転写因子として腫瘍化を促進すると考えられている。Aurora AおよびAurora Bはセリン・スレオニンキナーゼの一種で,細胞周期の制御に重要な役割を果たし,様々な癌細胞において過剰発現していることが知られているが、ユーイング肉腫との関連は不明である。本研究では,2種類のAuroraキナーゼ(Aurora A, Aurora B)とEWS-Flilの関連について解析した。 ユーイング肉腫細胞TC135において,EWS-FlilのノックダウンによってEWS-FlilのみならずAurora AやBのmRNAとタンパク質の両方ともに減少し,Aurora AおよびBの転写がEWS-Flilによって調節されていることが示された。Aurora AおよびBプロモーターの部分欠失遺伝子やEts結合部位の変異体を用いた実験,クロマチン免疫沈降法によって,EWS-FlilはAurora A、およびBのそれぞれ-84から-81bp.-71から-68bpのDNA配列に結合して転写を活性化することが明らかになった。Aurora Aに関しては,他のEtsファミリー転写因子Ets2, E4TF1がEWS-Fli1と同じ-84から-81のDNA配列を介して転写を活性化するが,Aurora Bに関しては,Etsファミリー転写因子として初めてEWS-Flilが-71から-68bpに結合することを明らかにした。ユーイング肉腫細胞において,EWS-Flilにより直接Aurora AおよびBキナーゼの転写活性化が起こり,その発癌過程で重要な役割を果たすと考えられた。
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