2007 Fiscal Year Annual Research Report
上腕骨離断性骨軟骨炎の軟骨欠損に対する自己骨髄間葉系細胞移植療法の確立
Project/Area Number |
18591659
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 博之 Shinshu University, 医学部, 教授 (40204490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇谷 滋之 大阪市立大学, 医学部, 准教授 (70243243)
大串 始 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング部門, 研究グループ長 (80213669)
高原 政利 山形大学, 医学部, 准教授 (10236341)
角谷 眞澄 信州大学, 医学部, 教授 (40115225)
吉村 康夫 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (10303439)
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Keywords | 再生医療 / 関節軟骨 / 肘関節 / 小児 / 骨髄間葉系細胞 / 細胞移植 / スポーツ |
Research Abstract |
学童期に投球動作を繰り返して生じる上腕骨離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans:以下OCD)の進行期では健常膝関節からの骨軟骨柱を移植するmosaicplastyが行われてきた。我々はmosaicplastyの予後調査を行い73%の例に骨軟骨片採取部の膝関節腫脹を認め、さらに術後MRIにおいても54%の例で骨軟骨柱採取部位の異常信号のあることを示した(Am J Sport Med,2007). 一方、我々は成人の膝蓋大腿関節の軟骨障害の5膝に行った自己骨髄間葉系細胞移植の短期成績を調査し、良好な臨床成績と軟骨組織の再生を報告した(J Tissue Eng Regen Med,2007)。さらに1例(14歳、男性、右肘OCD)に対して、平成18年度と同様の手技で骨髄間葉系細胞移植を行った。さらにこれまで本法を施行した4例の短期成績を調査した.これら4例の全例において、疼痛は消失しJOA肘スコアは術前の平均44点から術後平均71点まで回復した。また術後全例において上腕骨遠位の骨軟骨欠損部が軟骨様組織により修復されている事実をMRIで確認した。また感染、癌化は認められなかった(2007年日本肘関節学会)。これらの結果より、骨髄間葉系細胞移植法は従来のmosaicplastyにおける欠点を克服し、良好な硝子軟骨再生が得られる可能性が示唆された。しかし、本方法をより普及させるには、1)他施設に骨髄血あるいは細胞を搬送するコストの削減、2)搬送中の事故、時間浪費による細胞活性度の維持、3)空間的移動による細胞の安全管理面の強化、などに改善の余地がある点が明らかになった。 関節軟骨評価法に関して肘OCD23例のMRI(SIEMENS,Double Echo Steady State法)と関節鏡視所見におけるInternal Cartilage Repair Society分類との関係を検討した。その結果、MRIは軟骨および軟骨下骨の状態を把握するのに有用であるが、病巣部と母床間の連続性の評価には限界があることを報告した(2008年肘関節学会)。
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Research Products
(4 results)