2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質代謝異常および過凝固の観点からのステロイド性骨壊死の病態解析と予防法の開発
Project/Area Number |
18591665
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 卓明 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (20336035)
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Keywords | 骨壊死 / ステロイド / 脂質代謝異常 / 大腿骨頭 / 脆弱性骨折 / 病理組織 / 高脂血症 / 凝固異常 |
Research Abstract |
1 骨壊死動物モデルを用いたステロイド性骨壊死の病態に関する研究。 【目的】大腿骨頭壊死はステロイド剤使用に伴って発生する重要な疾患の一つである。スタチン剤による骨壊死発生率の予防効果について検討した。【方法】28週齢以上の日本白色雄家兎65羽を、ピタバスタチン投与群(PS)35羽、ステロイド単独投与群(CTR)30羽の2群に分け、予防効果について病理組織学的検討を行なった。【結果】骨壊死発生率は、ステロイド単独投与群で30羽中21羽(70%)、ピタバスタチン投与群は35羽中13羽(37%)と有意に低下していた(P<0.05)。【考察】ステロイド投与による脂質代謝異常を制御することは、ステロイド性大腿骨頭壊死の発生予防の一助となる可能性が示唆された。本実験系における、具体的は骨壊死発生の抑制機序はまだ解明されていないが、抗高脂血症剤の薬理作用である抗酸化作用、高脂血症抑制、動脈硬化抑制などの関与が考えられた。 2 大腿骨頭壊死症と鑑別を要する疾患の大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の発生頻度に関する研究 【目的】骨粗鬆症に伴って発生する骨折として、近年、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(以下SIF)が提唱されている。本骨折は関節破壊を来すことも報告されており、病理的にその頻度、特徴について検討した。【方法】変形性股関節症(以下OA)または大腿骨頭壊死症(以下ON)の診断にて人工股関節置換術を行なわれた7、718骨頭(7,286症例)(OA:7,349骨頭、ON:369骨頭)を再検討した。年齢は13-96才(平均60才)であった。【結果】SIFは7、718例中501例(6.5%))に認められた。年齢は20-93才(平均68才)で、79%(394例)は60才以上であった。女性は305例、男性は196例、右側罹患が253例、左は248例であった。疾患別では、OAでは6.3%、ONでは11.1%にSIFが認められた。【結論】SIFは高齢者に好発する傾向があり、特に大腿骨頭壊死症との鑑別は重要と考えられた。
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