2006 Fiscal Year Annual Research Report
高圧酸素療法が靭帯損傷の治癒過程に与える効果に関する研究
Project/Area Number |
18591674
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
玉井 和哉 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40137831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星川 淳人 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50383021)
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Keywords | 高圧酸素療法 / 靭帯治癒 / I型コラーゲン |
Research Abstract |
高圧酸素療法は、潜函病、ガス壊疸、一酸化炭素中毒に対する治療法の第一選択として知られているが、近年、スポーツ外傷を中心とする軟部組織損傷に対する治癒促進効果が注目を集めている。しかし、軟部組織損傷に対する応用は、基礎的な検討が不十分なまま臨床面が先行してしまい、その効果についても相反する報告がなされている。この理由として、圧力や治療時間、治療開始時期などの条件が報告ごとに様々であり、その至適条件が明らかにされていないことが考えられ、本研究は、靭帯損傷にとどまらず、様々な軟部組織損傷に対する高圧酸素療法の治療効果を明らかとすることを目的としたものである。 我々の先行研究((Mashitori H, Tamai K : Clin Orthop 2004)では、ラットの膝内側側副靭帯損傷モデルに対し、2.5気圧、2時間の条件下で1型プロコラーゲン遺伝子の発現量を4週間にわたってin situ hybridizationにて評価を行ったが、高圧酸素療法の靭帯治癒における至適条件を求めるにあたって、今年度は比較検討するための標準データを得るために、より遺伝子発現量を定量的に評価できるreal-time PCR法を用いて先行研究と同条件下で検討した。先行研究から、治療開始後のより早期において対照群との差が明らかであったため、観察期間を2週間とし、観察ポイントをより細かく設定して行った。1週後では高圧酸素群で遺伝子発現量が有意に増加していたが、2週後では対照群との差が明らかでなく、高圧酸素療法を長期継続して行う意義は少ないことが示唆された。現在はこの結果をふまえて、高圧酸素療法を2週間継続して行う群、前半1週間行い、後半は治療を行わない群、逆に前半無治療で、後半1週間に高圧酸素療法を行う群、無治療の対照群の4群間での比較評価を進めている。また、I型プロコラーゲン遺伝子の発現量が増加する機序として、細胞あたりのコラーゲン産成量そのものが増加している、あるいは、細胞あたりのコラーゲン代謝は不変だが高圧酸素療法により靭帯損傷部での細胞数が増加しており総量としてコラーゲン遺伝子発現量が増加している、以上2つの機序が考えられるため、in vitroで培養線維芽細胞に同条件下でassayを行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)