虚血性脳傷害におけるRhoキナーゼ阻害薬の効果および他薬との併用効果

2007 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18591687
• Research Institution: Akita University
• Principal Investigator: 西川 俊昭 Akita University, 医学部, 教授 (50156048)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 合谷木 徹 秋田大学, 医学部, 講師 (30302277) ; 木村 哲 秋田大学, 医学部, 助教 (00312702) ; 長崎 剛 秋田大学, 医学部, 助教 (60292380)
• Keywords: Rhoキナーゼ / 虚血性脳傷害 / ファスジル / 前脳虚血

Research Abstract

【対象と方法】雄SDラット(300-400g)40匹を対照(C)群(生食1ml/kg)、ファスジル3mg/kg(F3)群、ファスジル10mg/kg(F10)群およびファスジル30mg/kg(F30)群の4群に分け、生食または薬物を前脳虚血48時間および24時間前の計2回、腹腔内投与した。尾動脈、大腿静脈、右頚静脈にカテーテルを留置し、心電図電極、脳波電極、体温プローブ(側頭筋)を装着後、亜酸化窒素(66%)+フェンタニル(25μg/kg/h)+パンクロニウムで麻酔を維持した。側頭筋温を37.5℃に維持した。両側頚動脈閉塞と脱血による低血圧(収縮期血圧40〜50mmHg)とし、10分後、両側頚動脈閉塞解除と返血により脳の再灌流を行った。麻酔から覚醒させた後、カテーテル、モニター類を抜去した。虚血1、2、および3日後に神経学的検査(運動機能テスト:正常=18点、重度障害=0点)を行った。前脳虚血3日後に脳を灌流固定した。脳冠状切片をヘマトキシリンーエオジン染色し、光学顕微鏡的に海馬CA1領域の生存および死亡細胞数を調べた。値は中央値または平均±標準偏差で示した。統計処理はKruskal-Wallis検定または分散分析で行い、p<0.05を有意差有りとした。
【結果】虚血3日後の運動機能テストは、F10群がC群より有意に高値であった(C群:14点、F3群:16点、F10群:18点、F30群:15.5点)。海馬CA1細胞生存率は、F3群及びF10群がC群より有意に高く、F10群がF30群より有意に高かった(C群:24±17%、F3群:47±15%、F10群:52±13%、F30群=32±22%)。
【結語】ラツトー過性前脳虚血モデルにおいて、Rhoキナーゼ阻害薬であるファスジル10mg/kgの虚血前腹腔内投与は、神経学的及び組織学的に脳保護効果を有することが示唆された。