2006 Fiscal Year Annual Research Report
in vivoパッチクランプ法による吸入麻酔薬の脊髄における不動化作用機序の解析
Project/Area Number |
18591693
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
馬場 洋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00262436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 綾子 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助手 (70419331)
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Keywords | 全身麻酔薬 / パッチクランプ / in vivo / セボフルラン / イソフルラン |
Research Abstract |
平成18年度はまずin vivoパッチクランプ法を用いて腰部脊髄後角第2層(膠様質)細胞からパッチクランプ記録を行い、ラットの後肢に与えた痛み刺激で膠様質細胞に誘発される興奮性反応に対する揮発性吸入麻酔薬の作用を観察した。揮発性吸入麻酔薬はイソフルランを用い、吸入投与及び脊髄表面を灌流するクレブス液を介して投与した。後肢に対する痛み刺激は後肢皮膚にpinch刺激を与えることによって行った。パッチクランプ記録では膜電位を-70mVに固定するボルテージクランプ法で膜電流を測定した。 痛み刺激を与えている間は膠様質細胞に連続した興奮性シナプス後電流(EPSC)が記録された。これは刺激している間は減弱することはなかった。ラットの1MAC相当の濃度のイソフルラン(1.5%)の吸入投与を開始して10分後に同様の刺激を与えると、投与前と同様の連続したEPSCが記録され、その発生頻度、平均振幅や刺激中の総電流量に有意な変化はなかった。次に1.5%イソフルランを含んだクレブス液で脊髄表面を灌流投与することによって同様の実験を行った。灌流投与を開始して10分後に同様の刺激を与えると、やはり投与前と同様の連続したEPSCが記録され、その発生頻度、平均振幅や刺激中の総電流量に有意な変化はなかった。 以上の結果から、少なくとも臨床で用いられている1MAC程度の濃度のイソフルランは脊髄後角での興奮性シナプス伝達にほとんど影響しないと考えられた。今後、GABAやGlycineを介する抑制性伝達に対する作用や膜電流固定下での活動電位発生に対する作用も確認する必要があるが、現段階ではイソフルランの脊髄レベルでの鎮痛作用は非常に少ないものと考えられる。
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