2006 Fiscal Year Annual Research Report
出血性ショック時の吸入麻酔薬の薬物動態力学への影響
Project/Area Number |
18591698
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
栗田 忠代士 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80303569)
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Keywords | 出血性ショック / 吸入麻酔薬 / イソフルラン / 脳波 / 薬物動態学 / 薬力学 |
Research Abstract |
18年度はまず、出血性ショックが非代償期に至る重症例においても、吸入麻酔薬の中枢における薬剤感受性が変化しないのか、輸液蘇生がなされた場合はどうなのか検討した。 <方法>12匹のブタ(平均体重28.1±1.5kg)を用いた。イソフルラン吸入により麻酔を導入し、気管切開、人工呼吸下にイソフルランを吸入濃度2%で維持した。大腿動脈に観血的動脈測定ライン(および脱血ライン)、右内頚静脈に肺動脈カテーテル、中心静脈カテーテルを留置した。脳波およびカプノグラムを持続的に測定し記録した。吸入イソフルラン濃度を以下の三つの状態(コントロ,-ル、40%出血、40%出血後輸液蘇生)において変化させた(すべての状態で、吸入濃度を2%から0.5%にして25分間維持、その後2%に戻して25分間維持)。このときの呼気終末イソフルラン濃度の変化および脳波の変化を薬物力学的解析に用いた。計画通り、以下の手順で実験を行った。 (1)コントロール測定 出血:循環血液量の40%(28ml/kg)の脱血を約30分間で行い、さらに30分間安定化。 (2)40%出血測定 輸液:28ml/kgの膠質液(HES製剤)を約30分間で投与し、さらに30分間安定化。 (3)40%出血後輸液蘇生測定 <結果>2匹のブタが実験中突然の除脈、心停止により死亡。10匹のブタで結果を解析した。脳波(SEF)を用いた用量反応曲線が40%出血によってわずかに左方移動した(EC50が1.12%から1.00%へ減少)。すなわち、非代償性出血のレベルではわずかに吸入麻酔薬の鎮静効果が上昇したが、これは臨床上ほとんど問題にならない程度のものであった。また輸液は出血による血行動態の変化(心拍数上昇、血圧低下、心拍出量低下、中心静脈圧低下)を回復傾向に導き、吸入麻酔薬の効果器への到達時間(keO)を回復させたが、脳波効果の上昇、(鎮静効果の上昇)を回復することができなかった。
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