2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591711
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高崎 真弓 University of Miyazaki, 理事 (30094212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 正彦 宮崎大学, 医学部, 講師 (70305085)
立山 真吾 宮崎大学, 医学部, 助教 (10372799)
指宿 昌一郎 宮崎大学, 医学部, 講師 (70315381)
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Keywords | 局所麻酔薬 / 使用依存性ブロック / 細胞内濃度 |
Research Abstract |
局所麻酔薬は神経軸索の細胞内へ入り,細胞内でイオン化してナトリウム(Na)チャネルに作用してブロックを起こすと考えられているが,ブロックが起きたときの細胞内/外濃度比が一定でないことから,Naチャネルブロック以外の作用様式も加わっていると考えられる。ジメチルスルホオキサイド(DMSO)は,両親媒性薬物で,これ自体に局所麻酔作用がある。作用機序は,特定の受容体に作用するのではなく,非特異的に作用すると考えられている。ザリガニの巨大軸索を用いて,DMSOの局所麻酔作用を調べ,リドカインの作用を増強するか,細胞内リドカイン濃度を変化させるかどうかを調べた。ザリガニの腹側神経束を摘出し,測定槽に固定し,一方を刺激電極用,もう一方を薬物灌流用とした。顕微鏡下に微小ガラス電極またはリドカイン感受性ガラス電極を神経軸索内へ刺入し,20Hzで20回の電気刺激を与えて,得られた活動電位をコンピューターに取り込み,最大加速度(dV/dt max)を記録した。DMSOをザリガニ用生理食塩液で溶解して0.2,0.5,1,2,5,10%溶液を作製して15分間灌流した。リドカイン1mM溶液またはこれに0.2%DMSOを加えた溶液を30分間灌流した。さらにリドカイン単独または2%DMSOを加えた溶液を灌流して細胞内リドカイン濃度を測定した。DMSOは0.5%以上の濃度で濃度依存性にdV/dt maxを減少させた。0.2%ではdV/dt maxは変化しなかった。リドカイン1mMに0.2%DMSOを加えると,リドカイン単独のときよりdV/dt maxの減少は有意に増大した。リドカイン細胞内/外濃度比は,リドカイン単独で0.21±0.07(SD),リドカインにDMSOを加えたとき0.24±0.08で,両群間に差がなかった。DMSOはリドカインの局所麻酔作用を増強するが,細胞内リドカイン濃度を変えないことから,細胞内からNaチャネルをブロックする以外の要因を加えていることが明らかになった。
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