2007 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系疼痛制御機構と理想的な麻酔法、疼痛管理法の探求
Project/Area Number |
18591720
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正木 英二 Tohoku University, 病院, 准教授 (40221577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 博達 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40034029)
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Keywords | 術後鎮痛 / 麻酔法 / デクスメデトミジン / 患者調節鎮痛法 / 高容量 |
Research Abstract |
手術後の疼痛状態は、通常の鎮痛薬である麻薬や抗炎症薬ではコントロールが難しく、これまでまったく疼痛管理とは関係していないとされているネオスティグミン、アデノシン、クロニジンなどによる薬剤の脊髄、硬膜外投与で緩和されることが明らかとなってきた。近年、本邦でも使用可能となった、α2受容体刺激薬であるデクスメデトミジンは集中治療室での鎮静薬としてその保険適応が認められているが、鎮静作用のほかに鎮痛、抗侵害作用があることが認められている。さらに、デクスメデトミジンには呼吸抑制作用が少なく、気管挿管時にその刺激を和らげ、安定した循環動態を得ることができるため、スムーズな抜管操作を必要とする、脳神経外科や心臓に疾患を持った患者さんの麻酔に有用であると考えられる。我々は、これまでに、デクスメデトミジンの術中使用が術後鎮痛状態に与える影響を調べきたが、その効果が十分でなかったため、より高い濃度を用いその効果を検討した。 対象は婦人科悪性疾患開腹患者で、デクスメデトミジンは麻酔導入直後より鎮静作用に必要な推奨投与量の2.5倍を手術終了まで持続的に投与した。麻酔方法は一般的に用いられている硬膜外麻酔併用全身麻酔で行った。術後鎮痛状態は、術後5回、手術終了2,4,6,24,72時間後に視覚的アナログ法で評価し、患者調節鎮痛法により術後鎮痛剤使用量を比較した。デクスメデトミジンの高容量投与は、術後鎮痛状態を改善したが、その差は対照群に比べ有意なものでなかった。しかしながら、術後鎮痛剤使用量、また、その初回使用までの時間は有意に減少、延長した。さらに、高容量投与による副作用等は認められなかった。これらの結果より、術中のデクスメデトミジンの高容量投与は有効な術後鎮痛方法となることを示している
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