2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳内神経ネットワーク見たモルヒネと吸入麻酔薬の作用機序に関する研究
Project/Area Number |
18591722
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
赤澤 年正 Juntendo University, 医学部, 准教授 (60306941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80164581)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 発火パターン / 海馬CA1 |
Research Abstract |
私たちは意識形成に関与するGABA性抑制性インターニューロンが形成する脳内神経ネットワークの構成素因や機序などを明らかにしてきたが,その研究成果をもとに吸入麻酔薬がこのネットワーク活動にどのような影響を与えるかについて検討した.マウス脳スライス標本を作成し,人工脳脊髄液を還流しながら顕微鏡下に線条体および海馬体神経細胞に対して whole-cell patch clampを行い,静止膜電位(RP)および細胞のもつ発火パターンをみた.その後,吸入麻酔薬の添加を行い,RPや発火パターンの変化を観察した.海馬CA1や歯状回における神経細胞のRPは約-80mVであった.そこへ吸入麻酔薬:セボフルランおよびイソフルランを還流させると,RPは変化ないものの,それぞれの細胞に特有の発火パターンは著明に変化した.また,発火する電位値も変化した.すなわち線条体細胞と同様に吸入麻酔薬の添加によりその均一さは失われ,『乱れ』が生じた.しかし,吸入麻酔薬中止により10〜20分の経過とともに『乱れ』はなくなり,元の発火パターンへと戻った.さらに,これら変化は海馬体の顆粒細胞や錐体細胞のみならず,介在細胞にまで観察された.このように,吸入麻酔薬ば脳内における神経ネットワーク回路の情報伝達に変化(可逆性)を与えるものと思われた.この『乱れ』が吸入麻酔薬の作用機序そのものとは断定できないものの,皮質-線条体-視床-皮質というループ形成および海馬三シナプス性回路などに影響を与えることは十分に考えられる.これら神経細胞における情報伝達の『乱れ』は吸入麻酔薬メカニズムの解析に関連する可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)