2006 Fiscal Year Annual Research Report
Dセリン急性投与による抗侵害効果への影響に関する研究
Project/Area Number |
18591723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 健二 東海大学, 医学部, 助手 (10317779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 講師 (90276791)
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Keywords | Dセリン / 鎮痛作用 / モルヒネ / NMDA受容体 / オピオイド受容体 / 下行性抑制系路 / グルタミン酸 / 脳室内投与 |
Research Abstract |
申請者らは、Dセリンがグルタミン酸受容体の一つのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の内因性リガンドであることを初めて明らかにした。これまでに、疼痛の下行性抑制系路においてグルタミン酸が関与することを示唆する知見があるが、不明な点が多い。本研究では、NMDA受容体の選択的な内因性リガンドであるDセリンを用いて、疼痛の下行性抑制系路におけるNMDA受容体の機能を明らかにすることを目的として、Dセリンをラット第三脳室内に投与し、Tail-Flick法にて抗侵害効果について解析した。その結果、1.Dセリンの脳室内投与によって、用量依存的に抗侵害効果が観察され、この効果はDセリンの作用点であるNMDA受容体グリシン結合部位の拮抗薬L-701,324によって拮抗された。2.Dセリンはモルヒネの抗侵害効果を相加的に増強し、この増強効果はL-701,324によって拮抗された。3.Dセリンの抗侵害効果はオピオイド受容体の非選択的拮抗薬ナロキソンによって拮抗された。4.L-701,324(137nmol)単独投与により、hyperalgesiaが観察された。これらの結果より、Dセリンは脳内のNMDA受容体グリシン結合部位を介して、オピオイド受容体を刺激し鎮痛作用を示すことが示唆された。すなわち、Dセリンは疼痛の下行性抑制系路を亢進し、鎮痛作用を有することが明らかとなった。また、脳内のNMDA受容体グリシン結合部位が鎮痛薬としての作用点となりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)