2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591728
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 篤裕 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (30196084)
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Keywords | 麻酔薬 / 遺伝子発現 / 麻酔法 / 日内変動遺伝子 |
Research Abstract |
ラットを対象に吸入麻酔薬(セボフルラン、イソフルラン)、静脈麻酔薬(プロポフォール、デクスメデトミジン)による麻酔中および覚醒後の脳、肺、肝における遺伝子発現をrealtime-RT-PCRを用いて測定した。4%セボフルラン麻酔において、麻酔中2時間および6時間で、Per2、Dbp、Arc、Egr1、Krox2およびNGFI-Bの発現が有意に抑制され、覚醒後24時間でもKrox2を除いて抑制が持続した。一方、静脈麻酔薬では同様な傾向が認められたが、Dbpには影響せず、脳内日内遺伝子に及ぼす影響が麻酔薬間で異なる可能性が示唆された。肺においては、吸入麻酔によって、ET-1、NOS3およびADMの発現が有意に増加し、ET-1発現の増加による肺循環への影響を拮抗する機序の一因が推測された。肝臓においては、代謝に関与するCyp7a1、Cyp2b15、Por、Nrli2、Ces2、Ugt1a7、Abcb1a、Abcc2を測定し、ほとんどの遺伝子が麻酔6時間後に発現が増加し、覚醒後24時間でほぼ麻酔前値に復した。一方、吸入麻酔と静脈麻酔において、さらに静脈麻酔間で発現が相反する結果を示し、麻酔薬による肝代謝酵素遺伝子発現に相違が認められた。以上の結果は、麻酔による主要臓器内の約10、000遺伝子発現を網羅的にmicroarrayで解析した過去の報告を支持するものであり、麻酔により体内遺伝子発現が影響され、麻酔後もしばらく影響が残ること、麻酔によりお互いに生体反応に拮抗する物質の遺伝子の発現が増加する場合もあること、および、麻酔法・麻酔薬により影響される遺伝子発現やその程度が異なることを明らかとした。
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