2008 Fiscal Year Annual Research Report
正常および敗血症ラットの微小腸間膜動脈運動に及ぼす鎮静薬の影響
Project/Area Number |
18591729
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
関 純彦 Kanazawa Medical University, 医学部, 准教授 (50315503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 英昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20155394)
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Keywords | 敗血症 / 微小循環 / 鎮静薬 / カテコラミン / EDHF |
Research Abstract |
雄性SDラットから直径200μm以下の腸間膜動脈を摘出し、血管標本の両端に微小ガラスピペットを挿入した。内圧を一定に保ちながら顕微鏡に装着した収縮計測用CCDカメラにて血管内径の変化を測定・記録した。α受容体刺激薬フェニレフリンを累積投与したところ、内皮除去では収縮反応が増強されたが、L-NAMEおよびインドメタシンの前投与で内皮由来拡張因子(EDRF)を阻害した状態では収縮反応は増強されず、内皮由来過分極因子(EDHF)の標的であるK^+チャネルを阻害したときにのみ増強された。1μM以上のフェニレフリン投与で生じる律動運動はEDRF阻害状態でも観察され、K^+チャネル阻害薬で消失した。敗血症6時間後のラットから摘出した標本では収縮反応は減弱し律動運動は消失していた。ところがEDRF阻害状態で収縮反応は増強した。以上のことから、ラット腸間膜動脈の収縮弛緩反応は内皮細胞によって修飾され、NO、PGI_2、およびEDHFの3者が関与していることが判明した。一方、律動運動の発生にはEDHFがNOやPGI_2よりも重要な役割をはたしていることが示唆された。また、敗血症作成6時間後のラット腸間膜動脈では、内皮細胞傷害による血管拡張障害と律動運動の消失とが起きる。その本体は内皮細胞由来のEDHFの機能障害であり、逆に内皮細胞由来のNOやPGI_2は絶対的もしくは相対的に機能が亢進しているものと推察された。また、鎮静薬プロポフォールはEDRF阻害状態でもフェニレフリン投与時の律動運動の振幅を増強することを観察し、プロポフォールがEDHFの作用を増強する可能性が示唆された。このため、早期敗血症段階における微小腸間膜動脈のEDHF機能障害がプロポフォールで回復するか否かを観察する予定であるであったが、今回の研究では明瞭な結果を得るまでに至らなかった。
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