2007 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン不応性前立腺癌におけるNFkB活性化の意義とその経路を標的とした治療戦略
Project/Area Number |
18591742
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小中 弘之 Kanazawa University, 医学部附属病院, 講師 (40334768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 敦 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (50248580)
京 哲 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (50272969)
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Keywords | ホルモン不応性前立腺癌 / アンドロゲン非依存性前立腺癌 / 再燃メカニズム / NF-κB / LNCaP / デコイ / ドミナントネガティブ / 分子標的薬 |
Research Abstract |
ホルモン不応性前立腺癌の新たな治療法を開発していく上で,前立腺癌の再燃メカニズムを解明することは必要不可欠である。今回我々は,NF-κBの恒常的活性化という新たな視点から前立腺癌の再燃メカニズムを解明すると共に,NF-κB活性を効果的に抑制するための各種遺伝子阻害技術を検討し,ホルモン不応性前立腺癌に対する新たな治療戦略の確立を試みた。 まず,恒常的なNF-κB活性の上昇が認められないアンドロゲン感受性前立腺癌細胞株LNCaPにおいて,アンドロゲンフリーの環境で培養すると,アンドロゲン存在下と比較してNF-κB活性の有意な上昇が認められた。この結果から,NF-κB活性の上昇はアンドロゲン依存性から非依存性への移行に何らかの形で関与しており,"アンドロゲン除去はヒト前立腺癌細胞株LNCaPにおけるNF-κB活性を充進させる"ことを明らかにした。 次に,NF-κBをターゲットとしたアンドロゲン非依存性前立腺癌に対する新規治療法を確立するために,NF-κBデコイ(κBコンセンサス配列NGGGGAMTTTCCNNを有する二本鎖DNA),ドミナントネガティブ(IKKによってIκBαがリン酸化をうけるセリン32と36の部位をアラニンにかえた変異体タンパクSR-IκBαを発現するアデノウイルスベクター),分子標的薬(ユビキチン、プロテアソーム系を標的分子としたBortezomib)等の遺伝子阻害技術を用いてNF-κB転写活性を抑制し,抗腫瘍効果をin vitroで検討した。本研究期間内に,これら遺伝子阻害技術によるSCIDマウスを用いたin vivoの検討を行う予定であったが,LNCaPを用いた骨転移モデルの作製が困難であったため暗礁に乗り上げた状態にある。今後は,科研費の有無に関わらず,再燃前立腺癌の治療実験に有用な同モデルの作製に取り組む予定である。
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