2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子メチル化スコアによる尿路上皮癌患者の予後予測システムの構築と実用化
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18591761
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中川 昌之 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90164144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎田 英樹 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80347103)
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Keywords | 膀胱癌 / 遺伝子メチル化 / collagen type 1 A2 / p16INK4a / p14ARF / 癌抑制遺伝子 / メチル化スコア |
Research Abstract |
(目的)近年、膀胱癌の進展にさまざまな遺伝子のプロモーター領域のメチル化が関与していることが報告されている。われわれは癌抑制遺伝子のp16INK4aおよびp14ARFのメチル化が膀胱癌患者の予後や浸潤性に関与していることを明らかにしてきた。今回、collagen type 1 alpha 2 (COL1A2)のプロモーター領域のメチル化が膀胱癌の悪性化にどのように関与しているかを検討した。 (方法)脱メチル化剤(5-aza-C)添加前後の膀胱癌株BOYからmRNAを抽出しDNAマイクロアレイを行った。COL1A2はメチル化により最も発現が低下している遺伝子であり、BOYと臨床検体(膀胱癌86例、正常組織11例)においてCOL1A2のメチル化と遺伝子発現を定量化した。また、同遺伝子の発現がほとんどみられない膀胱癌株BOYに遺伝子移入し、細胞遊走能と細胞増殖能を検討した。 (結果)5-aza-C処理後のBOYではCOL1A2の発現が増大し、メチル化スコアは最小化していた。臨床検体では、膀胱癌のCOL1A2の発現は正常組織に比べ有意に低値であった(7.9±1.8 vs 15.8±3.8, p=0.0015)。また、膀胱癌のCOL1A2のメチル化スコアは、正常組織のそれに比較し有意に高値であった(0.007±0.006 vs 23.15±16.56, p=0.0066)。さらにCOL1A2のトランスフェクタントでは、細胞遊走能と増殖能がコントロールに比べ有意に亢進していた。 (結論)膀胱癌においては、COL1A2の発現はプロモーター領域のメチル化により抑制され、癌細胞の游走能や増殖能が亢進している可能性が示唆された。これまでに得られた知見から、COL1A2や癌抑制遺伝子のp16INK4aおよびp14ARFのメチル化を組み合わせてスコア化することで、膀胱癌をはじめとする尿路上皮癌の予後予測の指標になると考えられた。
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