2007 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞膀胱の機能低下とアンジオテンシンIIレセプターの関与及びブロッカーの予防効果
Project/Area Number |
18591762
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
相川 健 Fukushima Medical University, 医学部, 講師 (80295419)
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Keywords | 膀胱 / 閉塞 / ラット / アンジオテンシンII / レセプター / ブロッカー / 血流 / 機能 |
Research Abstract |
本年度は、12週齢オスSDラットにシャム手術(Sham群)、部分的尿道閉塞手術(BOO群)を行い14週齢でBOOラットの半分を無作為に選び、ミニ浸透圧ポンプで4週間カンデサルタン0.2mg/kg/dayを投与し(カンデサルタン群)計画に沿って18週齢で以下の実験を行った。1)膀胱血流測定、2)膀胱壁のエラスチカマッソン染色による組織学的検討、4)膀胱切片のオルガンバス内での収縮実験。 結果:1)レーザードップラー計による膀胱血流測定では膀胱内尿貯留量によって変わるので空の状態で比較した。また大動脈の血流をコントロールとして測定した。Sham群に比べ他の二群はいずれも有意に膀胱血流が増加していた。カンデサルタンによる血流の更なる増加は見られなかった。2)エラスチカマッソン染色による膀胱壁の筋線維・膠原線維比はSham群に比べBOO群で低下し、カンデサルタンはBOOによる低下を抑制していた。膀胱壁内の動脈周囲長はSham群とBOO群で差はなかったが、カンデサルタンは増加させた。3)膀胱切片の収縮実験では、Sham群に比べBOO群で神経電気刺激、ATP、カルバコール、KClのすべての刺激による収縮反応は低下していた。ただATIIによる収縮反応は増加していた。カンデサルタン群はATIIによる収縮反応は消失しており、薬の投与効果が確認できた。カンデサルタンはBOOによるすべての刺激に対する収縮反応の低下を改善させた。以上の結果からラットBOOモデルでは、閉塞による膀胱収縮力の低下をATIIタイプ1レセプタープロッカー(カンデサルタン)が改善させた。この改善効果は、血流の改善も含め筋線維の変性の防止と考えられた。またBOO群でATIIに対する収縮反応が増強していたことは、ATIIが膀胱平滑筋の不随意収縮を誘発しBOOに伴う過活動膀胱発生の原因の一つとなっているかもしれない。
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