2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロリルイソメラーゼPIN1を用いた前立腺癌治療標的因子の同定
Project/Area Number |
18591765
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梁 明秀 Yokohama City University, 医学研究科, 准教授 (20363814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 博司 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (50244439)
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Keywords | 前立腺癌 / リン酸化 / 酵素 / 蛋白質 / 泌尿器 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトはリン酸化部位結合酵素Pin1を分子プローブとして活用することにより、がんの形成や悪性化に関与する責任因子を網羅的に同定し、その分子病態メカニズムを明らかにすることを目的とする。ヒトゲノム計画が終了した現在、ポストゲノムの時代として、タンパク質の翻訳後の修飾、すなわちリン酸化とそれに伴う調節機構および疾患における変化を明らかにすることは非常に意義のあることである。本研究プロジェクトではリン酸化されたタンパク質のPin1による新しい調節機構(リン酸化後修飾)に着目し、それを巧みに利用することにより、全く新規の手法・アイデアにおいて疾患特異的にリン酸化されるタンパク質を網羅的に明らかにする点に特徴がある.各種前立腺癌細胞株および組織を用いたPin1プロテオーム解析を実施し、前立腺癌特異的にPin1に結合するリン酸化タンパク質を20種類以上同定した。我々は当該タンパク質のうち、かつて前立腺癌との関連が認められていないPINBP1について、臨床検体を用いて、癌の形成や悪性化との関連について考察を行なったところ、PINBP1は前立腺癌細胞で悪性度に比例して発現が増加し、手術後再発の優れた診断マーカーとなる可能性のあることが明らかになった。siRNAを用いてPINBP1特異的に抑制すると、細胞の形態変化を伴いながら細胞増殖が低下し、細胞老化が誘導された。また、テロメラーゼ活性が1/4〜1/16に減少した。これらの成果はPINBP1が新規の悪性度の高い前立腺癌のバイオマーカとなるばかりでなく、有効な治療標的となりうることを示すものである。
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