2006 Fiscal Year Annual Research Report
好中球による酸化ストレスからみた妊娠高血圧症候群の病態形成過程
Project/Area Number |
18591804
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
月森 清巳 九州大学, 大学病院, 講師 (90253450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶋 恒太郎 九州大学, 大学病院, 助手 (40304779)
園田 顕三 九州大学, 大学病院, 助手 (30294929)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 好中球 / 活性酸素 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究では、好中球による酸化ストレスの発現機序の観察を介して、妊娠高血圧症候群における胎盤の形成障害と母体の血管内皮細胞を障害する機序とを関連付けることによって、本症の病態形成過程を明らかにすることを目的とした。この主旨に沿って、妊娠高血圧症候群症例における胎盤の形態、絨毛細胞の機能、好中球の機能、好中球による酸化ストレスの発現およびこれらの相互の関連について観察し、胎盤の形成障害と好中球の活性化との関連についてin vitroで検討を加えた。ついで、子宮胎盤循環障害ラットを用いて、胎盤の形態、絨毛細胞の機能、母獣好中球機能、好中球による酸化ストレスの発現および血管内皮細胞機能について経時的に観察し、胎盤の形成障害から全身の血管内皮細胞障害を引き起こす機序についてin vivoで検討を加えた。その結果、妊娠高血圧症候群症例におけるin vitroでの検討では、妊娠高血圧症候群では、好中球の活性酸素(O_<2^->)産生能が亢進し、血清中のフリーラジカル(H_2O_2およびONOO^-)が高値を示すことが分かった。この妊娠高血圧症候群における好中球O_<2^->産生能が亢進する機序に関する検討では、本態性高血圧合併妊娠と異なり、血清中に存在する因子が関与し、本血清因子は分娩後速やかに消失することが分かった。また、L-NAME投与による子宮胎盤循環障害ラットを用いたin vivoでの検討では、胎盤形成期にL-NAMEを投与した群では胎盤絨毛細胞の浸潤能の低下とアポトーシスの発現増強が認められることが分かった。これらの成績から、妊娠高血圧症候群では、胎盤における虚血・再還流刺激により産生される物質の作用を介して好中球の活性化をきたし、母体酸化ストレスによる全身血管内皮細胞障害が引き起こされことが病態形成に関与していることが示唆された。
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Research Products
(7 results)