2007 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群予防・治療にむけての妊婦の適切な栄養管理に関する総合的研究
Project/Area Number |
18591807
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 佳克 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (30254288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 珠生 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20405210)
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70159888)
渡邊 義将 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70381803)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 血管内皮機能障害 / 葉酸 |
Research Abstract |
妊娠高血圧腎症(PE)患者でnitric oxide(NO)のbreak downがみられ、また、硝酸薬によるNO機能不全動物で、葉酸(FA)+L-アルギニン(L-Arg)投与がその障害を改善することを明らかにした。FA+L-Arg投与が、PE妊婦にみられる血管内皮NO機能障害を改善し得るか検討を行った。同意の得られた非妊女性(NP)、妊娠中期の前回PE妊婦(PPE)において、L-Arg 1g/日+FA0.8mg/日を投与し、投与前と投与後の上腕動脈のflow mediated vasodilatatio(FMD)を測定し、%FMD=駆血後血管径/駆血前血管径x100を求めた。赤血球L-ArgとFA濃度を測定した。%FMDはPPE群とNP群では、コントロールとした正常妊婦(HP群)に比べて投与前%FMDは低かったが、投与により%FMDは増加した。赤血球中FA値は投与により増加し、投与終了まで漸増した。赤血球中L-Arg値は、投与10週以降で増加した。投与にもかかわらず、PEを発症した妊婦では、FA濃度は増加したものの、%FMDとL-Arg値の増加が認められなかった。血清中の酸化ストレスマカーやNO測定で、変化はなかった。この結果より、FA+L-Arg投与は、PE妊婦にみられる血管内皮機能異常を改善する可能性が示唆された。その機序は細胞中L-Argの減少に対する補充が考えられた。内皮細胞におけるNO合成酵素の機能不全による活性酸素の産生(uncoupling状態)とそれに対する葉酸の改善作用はこの検討では明らかでなかった。臍帯血での赤血球中FAやL-Arg濃度は、投与により差を認めなかった。また、胎盤の免疫組織染色でも活性酸素やperoxynitriteの増加を認めなかった。投与は、胎盤循環への影響を認めないことが示された。
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