2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖補助医療の適応を決定する精子受精能評価法の確立に関する研究
Project/Area Number |
18591810
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
柳田 薫 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (10182370)
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Keywords | 不妊症 / 人工授精 / 体外受精 / 精子 / 精子機能検査 / DNA / 不動精子 |
Research Abstract |
原因不明不妊症の割合は不妊症の15%にあたるが、効率よい不妊治療を行うためにはその原因を解明する必要がある。現在も確定できない原因に受精障害を来す精子受精機能異常があり、精子受精能を評価する検査法を確立することがこの研究の目的である。具体的には、精子の受精能を精子の膜機能に着目した。生存しているが運動していない精子は精子の代謝系、細胞膜の活性度が損なわれているか、退行性変化に向う途中の精子と考えられる。生存しているが運動していない精子の割合が精子受精能のマーカーになりうるかを検討した。精子は精子運動解析装置(SMAS)で、精子運動率、精子濃度、精子速度、直進運動性を計測、精子の生存・死滅の評価はLive/Dead sperm Viability kitで行い、精子DNAの断片化はHalosperm法を行うこととした。リプロダクションセンターを受診した不妊症患者の精液検査、人工授精、体外受精実施時の精液検査で、不動生存精子の割合と実際の臨床成績とを検討した。不動生存精子の割合を、タイミング法を行っている患者の精液検査から、タイミング法と人工授精では実施時の精液サンプルからその割合を求めた。その結果、30%以上ではタイミング法での妊娠例がなく、人工授精以上での治療で妊娠が可能であった。よって、その値が30%以上では人工授精以上の治療を選択する必要があるということが判明した。体外受精例での分析では、不動生存精子の割合の分布は17.8%±1.7SE(0-46)で、受精率との相関を求めると、相関係数は-0.41となり相関を認めた。つまり、不動生存精子の割合が多いほど、受精率が低値となることが判明した。引き続き、これらの精子のDNA断片化率などについて調査中である。
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