2009 Fiscal Year Annual Research Report
性同一性障害患者の卵巣を用いたヒト卵巣組織の凍結保存法の発展と確立
Project/Area Number |
18591811
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高井 泰 Saitama Medical University, 医学部, 准教授 (60323549)
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Keywords | 性同一性障害 / 卵巣 / 凍結保存法 / アポトーシス |
Research Abstract |
ヒト卵巣組織を76人の性同一性障害患者(30.5±5.4歳;mean±SD)から書面による同意を得て採取した。ヒトでの再移植手術を想定し、卵巣組織片を大きくし、最終的には10mm四方・厚さ1mmとした。DAP法では、DMSOを含むPBI培地に4℃で5分間、DAP213液(DMSO、アセトアミド、プロピレングリコール含有)に4℃で5分間浸漬してから液体窒素に投入した。Cryotissue法では、平衡液(エチレングリコール(EG)、ジメチルスルポキシド(DMSO)含有)に26℃で25分間、凍結液(EG、DMSO、ショ糖含有)に26℃で15分間浸漬してから液体窒素に投入した。凍結後融解した卵巣組織を1-2mm角の細片に分割し、SCIDマウスの卵巣嚢内あるいは皮下に移植し、2週間後に摘出して残存卵胞密度を計算した。 40歳未満(n=6)の凍結前の卵巣では84±20個/mm^3 (mean±SE)の初期卵胞(原始卵胞、1次卵胞、前胞状卵胞の合計)を認めた。Cryotissue法で凍結後融解した卵巣組織片では67±7個/mm^3の初期卵胞を認めた。融解後にSCIDマウスの卵巣嚢内および皮下に移植した組織片では、それぞれ10±5個/mm^3および3±2個/mm^3の初期卵胞を認めた。一方、DAP法で凍結後融解し、SCIDマウスに移植した組織片では卵胞を認めることができなかった。 ヒト組織片を大きくした場合、DAP法は凍結・融解プロトコルの最適化を要すると思われた。一方、Cryotissue法で凍結したヒト卵巣を移植した場合、組織片あたり1000個前後の初期卵胞が生着すると考えられるが、これは凍結前の10%程度に過ぎない。この卵胞残存率を高めるために移植法などの更なる改良を加える必要があると考えられる。
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