2006 Fiscal Year Annual Research Report
着床におけるglycodelinを介した子宮内膜細胞の接着・運動機能制御の解明
Project/Area Number |
18591812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90286534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10209702)
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
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Keywords | 生殖医学 / 着床 / 細胞運動 / グリコデリン / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 |
Research Abstract |
ヒト着床の分子機構の解明は倫理的実験制約によって立ち遅れている。分泌糖タンパクglycodelinは、子宮内膜腺上皮において着床期から妊娠初期にユニークに発現誘導されるが、着床機構への介在は未だ明らかにされていない。 近年新規抗腫瘍薬として着目されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACI)は一部の遺伝子転写亢進によって、細胞機能に影響を及ぼす。我々は同剤によって子宮腺上皮細胞におけるglycodelinの発現が誘導されること、そのglycodelinが子宮内膜腺上皮細胞の分化誘導に関与することを明らかにした(Endocrinology2005)。本研究において、ヒト子宮腺癌細胞株、絨毛癌細胞株を用いたin vitroの着床モデルを確立し、HDACIが着床の受容側である子宮内膜腺上皮に及ぼす影響を分化以外の観点から解析を行った。 その結果、HDACIの添加により、卵巣ステロイドホルモンと同等あるいはそれ以上の効果で、子宮内膜腺上皮細胞の運動機能を亢進することを明らかとした(Endocrinology 2007)。この現象は誘導されたglycodelinに依存しており、着床における内膜への胚陥入後の欠損上皮の修復、あるいは非妊娠時における着床期の高次腺構造形成に合目的ある。さらに現在、in vitroにおける着床効率もglycodelinを介して上昇させることを明らかとしており、HDACIの臨床応用および、glycodelinの多岐にわたる機能発現双方の観点において興味深い結果が蓄積されている(投稿中)。
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