2008 Fiscal Year Annual Research Report
カリクレインーキニン系、凝固線溶系の破綻と着床不全、流産に関する研究
Project/Area Number |
18591815
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
杉 俊隆 Tokai University, 医学部, 准教授 (70196707)
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Keywords | 第XII因子 / キニノーゲン / カリクレイン / phosphatidylethanolamine / 不育症 / 習慣流産 / 血栓症 / cardiolipin |
Research Abstract |
先ず、抗PE抗体の認識部位である、kininogen D3の合成ペプチド、LDC27と、抗第XII因子抗体の認識部位である、第XII因子heavy chainの合成ペプチド、IPP30を作成した。我々は既にこれらの合成ペプチドを抗原に用いて、ELISA法にて抗PE抗体陽性患者血清を用いてepitope mappingを施行したところ、多くの不育症患者の抗PE抗体がLDC27だけでなく、IPP30を認識する事を報告した。そこで、今回我々は、これらの合成ペプチドをウサギに免疫し、ポリクローナル抗体を作成し、その認識部位を検討した。ELISA上、LDC27に対するポリクローナル抗体はIPP30を認識した。また、IPP30に対する抗体はLDC27を認識した。これらのデータより、LDC27を認識する抗PE抗体と、IPP30を認識する抗第XII因子抗体は、類似した抗体である事が示唆された。キニノーゲンは、LDC27を介して、第XII因子は、IPP30を介して血小板上のトロンビンレセプターであるGP Ib-IX-Vに競合的に結合し、血小板活性化を抑制する事が知られている。LDC27とIPP30のアミノ酸配列は全く異なるが、同じレセプターに競合的に結合するという事は、立体構造が類似しており、抗原性が似ている事を示唆している。そしてLDC27とIPP30に対するポリクローナル抗体は、どちらもそれぞれLDC27とIPP30の両方を認識したという今回の結果により、抗PE抗体と抗第XII因子抗体が類似した、または同一の抗体である事が示唆された。我々は既に、抗PE抗体の約60%がLDC27を認識し、第XII因子活性低下の約50%が抗第XII因子抗体を持つ事を報告した。抗PE抗体と第XII因子活性の組み合わせで不育症患者を評価する事を提案する。
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Research Products
(4 results)