2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨盤自律神経節マッピングに基づいた神経温存術式の開発
Project/Area Number |
18591821
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永瀬 智 Tohoku University, 病院, 講師 (00292326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新倉 仁 東北大学, 病院, 講師 (80261634)
吉永 浩介 東北大学, 病院, 助教 (40343058)
村上 弦 札幌医科大学, 病院, 教授 (30157747)
八重樫 伸生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00241597)
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Keywords | 広汎子宮全摘術 / 膀胱子宮靭帯 / 神経節 / 神経温存術式 / 骨盤筋膜 |
Research Abstract |
浸潤子宮癌に対する根治手術として広汎子宮全摘出術が標準的に施行されている。この手術に伴う最大の術後合併症である排尿障害を防止するため、骨盤自律神経の損傷を最小限にする術式の確立が急務となっている。術後合併症として生じた排尿障害は半永久的なものとなることがあり、このことから、自律神経線維の損傷のみならず、神経節(ガングリオン)中の神経細胞自体の損傷が障害の程度を左右するのではないかと我々は推測した。術後膀胱機能の温存には手術時の膀胱子宮靭帯の処理が重要であることが知られており、膀胱子宮靭帯周囲の神経節(ガングリオン)分布を解明することが神経温存術式の確立につながると考え研究を行った。対象はホルマリン固定献体6例より得られた膀胱子宮靭帯後層組織8例(右側6例、左側2例)である。同部位の神経節細胞数は389-732(中央値561)であり、多くの神経節を含んでいることが初めて明らかとなった。そのうち、48%の神経節は静脈群の内側または腟側にみられ、19.2%は静脈群間に、13%は静脈群の外側に、19.8%は背側に認めた。膀胱子宮靭帯後層は膀胱静脈、膀胱枝、結合織を含み、いわば術者がその部位をすくいとることで決定される部分であるため、より正確な骨盤解剖に精通することが必須となる。しかしながら、膀胱子宮靭帯と名づけられた領域は、肉眼解剖学上では分類されておらず、このように肉眼解剖と実地臨床・手術で認識されている解剖が必ずしも一致していないことにしばしば遭遇する。そこで、新たに5例のホルマリン固定検体から骨盤臓器(子宮・腟・下部尿管・尿道・直腸を含む)を摘出し、現在、手術に添ったかたちで骨盤解剖の再検討を行っている。
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Research Products
(2 results)