2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌の発生と悪性化を制御する新規癌遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
18591825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仙波 憲太郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70206663)
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Keywords | 癌 / 遺伝子増幅 / ErbB2 / プロテオーム / シグナル伝達 |
Research Abstract |
近年の生活様式の欧米化に伴い、本邦では2015年には年間4万8千人の女性が乳癌に罹患すると予測されている。全乳癌患者の約30%が癌の転移のために死亡するという事実も合せると、乳癌の診断、治療、予防方法の確立は社会的に重要な課題である。現在、ErbB2に対する分子標的薬であるハーセプチンが注目されているが、その効果はErbB2を過剰発現する乳癌に限られていることから、ErbB2と異なる治療標的遺伝子の探索が必要である。本研究課題では、ゲノミクス・プロテオミクスの最新技術に基づく下記の二つの戦略で乳癌における新たな治療標的遺伝子の同定と機能解析を行なう。 戦略1「乳癌で見つかった新規増幅遺伝子の解析」について 35種類のヒト乳癌細胞株を用いて作成した遺伝子発現プロファイルを染色体上にマッピングし、独自に開発したアルゴリズムを用いて11箇所に及ぶ新規の遺伝子増幅部位を発見した。遺伝子増幅部位より、新たな治療標的と期待される細胞増殖、細胞死、細胞周期、分化、接着に関わる遺伝子を抽出した。 戦略2「ErbB2の下流でシグナル伝達に関わる遺伝子の同定と解析」について リン酸化チロシン抗体で沈降させた蛋白質複合体を直接酵素消化してサンプルを調製する方法(in-solution消化法)を確立し、より少量のサンプルで質量分析を可能とした。さらに大容量の質量分析データを基にした自動相対定量アルゴリズムの開発を通して、タンパク質の包括的な同定と定量に要する解析時間の大幅な短縮に成功し、その成果を論文発表した(裏ページ)。
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Research Products
(2 results)