2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸部腺癌の診断技術改良とsiRNAを用いたあらたな治療戦略
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18591845
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤井 多久磨 Keio University, 医学部, 講師 (10218969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 修一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30231872)
田代 英夫 理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 客員主管研究院 (90124370)
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Keywords | ラマン分光 / 子宮頸部 / 細胞診 / コルポスコピー / パビローマウイルス |
Research Abstract |
子宮頸部腺癌は本邦では子宮頸癌の16%と、その頻度は少ないものの、扁平上皮癌と比べると予後の悪いことが知られ、最近ではその発生頻度は漸増していることが知られている。初期腺癌は細胞診スクリーニングにおいて異常と診断されることが難しく、さらに従来のコルポスコピー検査においても推定診断が困難であった。本研究は癌のために切除された子宮頸部組織を用い、患部および正常部でのラマンスペクトルデータを採取し、その比較から癌特異的ラマンスペクトルを見出すものである。ラマン分光では組織の病変を拡散、蛋白質、脂肪などの細胞・組織の構成分子量やその存在比の変化として捉え、分光スペクトル数値として計測することができる。従来、ラマン分光法は感度が低く、測定に時間がかかるとされていたが、理化学研究所において高感度ラマンスコープの開発と小型システム化に成功し、この結果、被測定部について1箇所につき数秒以内で測定が可能となった。計測条件としてレーザー波長は78nm、出力は40mWで測定時間は3秒、波長は500・1700cm-1で行った。癌部では測定部位を変えてもラマンスペクトル・パターンが近似することから再現性があるといえる。一方で、腺癌では肉眼的に観察しても、その部位に癌細胞があるのか否かの判定に苦慮する場合があり、コントロール実験としての測定部位の適正化に問題があることも判った。 一方、子宮頸部腺癌の感染に関与の深いHPV18型感染はHPV16,51型と同様に子宮頸癌のハイリスク型に分類されているが、細胞診においては核異型に乏しい細胞像を示すことが知られていた。そこで、細胞像とくに細胞質に着目してみるとHPV18型感染の細胞像の特徴の1つとして、amphophiliaが候補として挙げられた。amphophiliaは一般に細胞の炎症性変化として捉えられるが、HPV18型感染細胞を考慮にいれるべきと考えている。
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Research Products
(2 results)