2007 Fiscal Year Annual Research Report
微小神経線維分布からみた女性性器脱発症機構の臨床解剖学的解析
Project/Area Number |
18591853
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Research Institution | Tazuke Kofukai Medical Research Institute |
Principal Investigator |
古山 將康 Tazuke Kofukai Medical Research Institute, 医学研究所第3研究部, 研究主幹 (00183351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 樹理 医学研究所, 第3研究部, 研究主幹 (90182386)
松下 克子 医学研究所, 第3研究部, 研究員 (50373204)
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Keywords | 骨盤臓器脱 / 恥骨頸部筋膜 / 直腸腟筋膜 / 尿失禁 / 神経分布 / 会陰体 / 肛門挙筋神経 / 仙棘靱帯 |
Research Abstract |
高齢社会の進行に伴って骨盤底臓器の下垂、機能不全は、高齢者のQOLの低下をきたし、successful agingの妨げとなる。排尿・排便・生殖機能を念頭に置いた質の高い治療法を開発するには、骨盤底臓器の支持機構の筋肉、筋膜、結合織、神経分布の解析は重要な基礎的データとなる。本研究は骨盤底臓器の支持機構における、微小神経機能を含めた解剖学的、生化学的支持機構を明らかにすることを目的として進めてきた。手術などの外科的操作によって微小神経や結合織、平滑筋、横紋筋などを損傷させ術後に内尿道、腟、直腸機能の障害を起こす可能性が懸念されてきた。18年度の本研究において前腟壁に免疫組織化学的に同定された神経線維は従来報告されている骨盤神経系の線維束より内側に存在し、膀胱頸部から尿道に向かって走行し、尿道支持機能に重要な役割をもつことを示した。本年度はさらに本神経束がS-100、TH抗体で染色される節後性交感神経で骨盤神経叢の頭側から生じ、尿道平滑筋に連続する神経束であることを同定した。さらに後腟壁の筋膜構造に関して、直腸と腟の間に存在する筋膜構造は前腟壁筋膜と傍腟結合織から子宮頸部で連結し、弾性線維の豊富なプレートとして存在しているが、それはしばしば非常に薄く断続的な筋膜構造をとっていた。直腸腟筋膜と連続する会陰腱中心の結合組織は、外側下方に長さ10-30mmに、上部腟に長さ3-15mmの線維筋性の弾力のある結合を提供していた。会陰腱中心は、前庭球、内肛門括約筋と肛門挙筋で囲まれる部位を占有し、坐骨恥骨枝に直接連結せず、前庭球と坐骨海綿体筋を経て間接的に連結していた。陰部神経分岐が下縁に沿っており会陰切開による損傷が懸念される。骨盤内臓神経および肛門挙筋神経は仙棘靱帯上を坐骨棘内側18.0mmの部位を走行し、尾骨に坐骨棘下12-26mmと前外側40-55mmで筋肉に入ることを確認した。
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