2007 Fiscal Year Annual Research Report
鼓索神経再建後の味覚機能と再生茸状乳頭・再生味覚神経終末の超微細構造に関する研究
Project/Area Number |
18591861
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
齋藤 武久 University of Fukui, 医学部, 准教授 (10139769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健人 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80303379)
伊藤 哲史 福井大学, 医学部, 助教 (90334812)
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Keywords | 鼓索神経 / 再生 / 味覚 / 茸状乳頭 / 形態 |
Research Abstract |
1. 手術用顕微鏡による茸状乳頭の観察 中耳手術中に鼓索神経が切断され、術後1年以上経過した112例において、鼓索神経固有領域の電気味覚検査閾値回復の有無と、同部位の茸状乳頭形態(乳頭数と大きさ)に左右差があるかどうかを比較した。その結果、茸状乳頭の形態に左右差がない11例はすべて味覚が回復していた。一方、茸状乳頭がほぼ消失している34例はすべて味覚が回復していなかった。残りの症例は茸状乳頭が多少でも残っているため「左右差あり」と判定したが、その中で味覚が回復した24症例においては、茸状乳頭が再生したと推測される。この味覚回復群では、再生した鼓索神経線維数の差によって、再生茸状乳頭の大きさや分布に差が生じると考えられる。一方、味覚が回復しなかった「左右差あり」の53例では、茸状乳頭が残存しているように見えても、乳頭内には味蕾が存在しない可能性が高い。 2. 再生した茸状乳頭における超微細構造の検討 鼓索神経が切断され、術後に味覚機能が回復した3症例において、切断側の鼓索神経固有領域の舌組織を一部切除し、切除試料内の茸状乳頭を光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いて観察した。計11個の茸状乳頭が採取でき、光顕レベルではこのうち7個に味蕾様構造が確認できた。電顕レベルでは、味蕾様構造の内部にI型,II型,III型細胞と基底細胞の特徴を備える細胞が確認され、III型細胞に終末する神経線維も見られた。神経終末内部にはミトコンドリア,小型淡明小胞,小型有芯小胞,大型有芯小胞が観察された。この神経終末はIII型細胞の核周囲領域や細胞基底部に接触し、神経終末側には後シナプス膜肥厚が観察された。一方、III型細胞内部には小型淡明小胞と大型有芯小胞が観察されたことから、この2者は非対称シナプス(asymmetric synapse)を形成していると考えられた。
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