2008 Fiscal Year Annual Research Report
スギ花粉症の新規治療法・舌下免疫療法の臨床評価と効果判定法の研究
Project/Area Number |
18591865
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
湯田 厚司 Mie University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80293778)
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Keywords | スギ花粉症 / 免疫療法 / 舌下免疫療法 / アレルギー性鼻炎 |
Research Abstract |
[背景と目的]スギ花粉症は国民の約1/4が罹患する国民病である。未だ根治治療がない中で免疫療法の有効性は高い。現状の皮下注射による免疫療法(皮下免疫療法)の欠点を補う方法として舌下免疫療法が試験的に行われ、効果と作用機序、効果判定法の確立が望まれる。[方法と結果]3年間で成人スギ花粉症の舌下免疫療法を63名に行い、自覚症状日記とQOL調査による臨床症状の評価を行った。さらに、既存の治療法である皮下免疫療法や薬物治療と比較した。舌下免疫療法の効果判定法として治療前、舌下免疫療法施行後でスギ花粉飛散前、スギ花粉飛散ピーク時の3回でヒスタミン遊離試験(HRT)の変化を検討した。[結果]舌下免疫療法は皮下免疫療法の臨床成績に及ばないものの薬物治療より有意に有効であった。皮下免疫療法に効果が及ばない理由は投与経路による抗原量の不足が考えられた。しかし、舌下免疫療法例の薬物スコアは有意に低く、抗ヒスタミン薬などの薬物量を軽減できる利点がはっきりした。ヒスタミン遊離の変化率では、舌下免疫療法は非施行例に比べて花粉飛散前に変化がなかったが、花粉飛散ピーク時には有意に抑制された。大量抗原暴露時のヒスタミン遊離の抑制に関与することが示唆された。しかし、花粉飛散期の症状とヒスタミン遊離率の変化に有意な相関がなく、舌下免疫療法はスギ花粉症に効果があるものの、完治に近い例が少ないことが原因と考えられた。[結論]舌下免疫療法は、皮下免疫療法ほど有効な治療とは言えないが、薬物量を減らし、薬物治療よりも効果の高い治療という点では今後にも十分に期待できる。舌下免疫療法の作用機序はまだ十分な結論には至らないが、ヒスタミン遊離試験などの日常臨床で検討できるモニターを追求すれば客観的な評価が可能と考えられる
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Research Products
(12 results)