2007 Fiscal Year Annual Research Report
ほ乳類内耳発生におけるNotch伝達系の役割の解明-再生医療への応用をめざして
Project/Area Number |
18591866
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 潤子 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (80332740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 武 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30107031)
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Keywords | Notch-Hes1経路 / 蝸牛 / 感覚上皮予定領域 / p27Kip1 / Math1 / BrdU陽性細胞 |
Research Abstract |
ほ乳類の蝸牛の発生においてNotch伝達系は細胞分化において重要な働きをしていることが知られているが、我々は活性化Notch1を特異的に認識する抗体を用いて、より早い段階での感覚上皮予定領域の決定にも比較的弱いが広範囲のNotch1の活性化が機能していると予想されることをこれまでに報告した(Murata J, et. al., 2006)。一方p27Kip1はサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質の一つであり、細胞周期のブレーキとして働き、ほ乳類内耳はp27Kip1感受性の高い臓器として知られている。昨年度に我々は感覚上皮予定領域の決定という発生学的事象の中でも細胞増殖制御に注目し、ASPCs(Auditory Sensory Precursor Cells)の増殖維持には、細胞分化以前の段階のNotch1の活性化による強すぎないHes1の発現がp27Kip1の転写を適切に抑制することが重要な働きをしていると予想し、Hes1が細胞分化段階以前から発現していることとHes1KOマウスにおいてはp27Kip1の発現上昇と増殖細胞数の減少が起きていることを示した。今年度我々は、Hes1KOマウスの蝸牛上皮でのBrdU陽性細胞の割合につい てE12.5からE14.5の各段階で検討し、BrdU陽性細胞の割合がwild typeと比較して有意に減少していることを確認した。またNotch-Hes1経路がASPCsの未分化性の維持に機能している可能性についても考察するために、Math1の免疫染色を行った。しかしMath1強陽性の有毛細胞前駆細胞(HC progenitors)が、Hes1KOマウスでwild typeに比較してより早期に観察されるということはなかった。従ってNotch-Hes1経路はAPSCの未分化性の維持に関しては少なくとも単独で関与している可能性が少なく、他のシグナル伝達系の関与について今後検討する必要性が考えられた。
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Research Products
(3 results)