2006 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌におけるB7-H1発現の意義とsiRNAを用いた新規治療法の基礎的検討
Project/Area Number |
18591867
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
冨永 進 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70420487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 光博 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60304359)
福島 邦博 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50284112)
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Keywords | B7-H1 / 共抑制分子 / 免疫寛容 / 頭頸部癌 / 免疫染色 / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
近年、免疫寛容を誘導する分子とし七共抑制分子が注目されている。なかでも1999年に発見された新規共抑制分子B7-H1(PD-L1)は腫瘍細胞に発現され、免疫寛容を介して宿主の抗腫瘍作用、すなわち腫瘍免疫からの回避を誘導する可能性が示唆されている。本年度は日本人頭頸部癌患者の癌組織におけるB7-H1の発現をタンパクレベルおよびmRNAレベルにて観察し、B7-H1発現の臨床的・免疫学的意義について評価した。研究計画に対するインフォームドコンセントをいただいた患者の癌組織をOCTコンパウンドに包埋し、-80℃にて保存した。抗ヒトB7-H1抗体を一次抗体としてエンビジョン法にて免疫染色を行った。今回は舌、口腔、咽頭、喉頭の扁平上皮癌について検討したが、いずれの頭頸部癌組織にもB7-H1が発現していることがタンパクレベルで明らかとなった。また患者の癌組織をRNA-later中で保存し、mRNA抽出後cDNAに変換した。B7-H1に対するプライマーを作製しRT-PCRを行い、B7-H1 mRNAが検出できるか検討した。さらにリアルタイムPCRにてmRNAを定量した。その結果、頭頸部癌組織にはB7-H1がmRNAレベルでも確認された。mRNA量と腫瘍のサイズも含めたステージングとの相関を検討した。その結果、B7-H1mRNA量と腫瘍サイズには相関を認めず、またリンパ節転移の有無や遠隔転移の有無でのB7-H1mRNA量に有意な差を認めなかった。以上の結果から、日本人頭頸部癌組織にはB7-H1がタンパクレベルおよびメッセンジャーレベルで発現されているが、その臨床的意義については明らかとならなかった。しかしながら、今回いただいた組織は比較的新しいものであり、再発との関連や生存率との相関などを今後調査する必要があり、長期的なフォローアップを行う予定である。
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