2006 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌の放射線化学療法における生存シグナル経路を分子標的とした増感効果の検討
Project/Area Number |
18591880
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
家根 旦有 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (40220199)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
|
Keywords | 頭頸部癌 / 分子標的 / siRNA / 放射線療法 / 化学療法 / p53遺伝子 / DNA修復タンパク / アポトーシス |
Research Abstract |
DNA修復タンパクの一つであるNBSIは、DNA double-strand breaksの修復系であるhomologous recombination repairやnon-homologous end-joining repairにおいて重要な役割を果たしていることが知られている。しかし、NBS1の詳細な働きについては明らかでない部分も多く、放射線感受性との関連についても明らかではない。そこでNBSIを標的としたsiRNAを細胞内導入し、これらの修復系因子を阻害することによってヒト癌細胞の放射線の感受性を増強できるかどうかについて検討を行った。実験方法は、p53遺伝子型のみが異なり、放射線感受性の異なる2種類の培養細胞株をまず作製した。作製した培養細胞は、ヒト舌癌由来のSAS細胞(正常型p53)に変異型p53を導入した細胞(SAS/mp53)とベクターのみ導入したコントロール細胞(SAS/neo)の2種類を作製した。SAS/mp53細胞の放射線感受性は低く、SAS/neo細胞はSAS/mp53細胞に比べて放射線感受性は高いという性質を有する。これらの放射線感受性の異なる細胞にNBSIのsiRNAを導入した。siRNAはX線照射の2日前にliposomeで細胞内に導入した。ウェスタンブロット法と免疫蛍光染色法でNBSI、リン酸化NBS1、Mrell、Rad50、DNA-PK_<cs>蛋白質の細胞内局在を検索し、免疫沈降法で蛋白質結合様式について検討した。実験の結果は、siRNAの導入効率は70-80%で、NBSIに対するsiRNAによって各DNA修復タンパクの蓄積誘導が特異的に抑制された。また、SAS/neoとSAS/mp53細胞で、p53非依存的にsiRNAによって放射線感受性が増感する現象を認めた。以上の結果り、DNA修復タンパクを標的としたsiRNAを用いることによって、p53非依存的に放射線を増感することが明らかとなり、放射線抵抗性の癌細胞にも感受性を増感することが示唆された。今後は抗がん剤に対する感受性においてもNBSIがどのような役割を果たすのかについて検討を加える予定である。
|