2007 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌の放射線化学療法における生存シグナル経路を分子標的とした増感効果の検討
Project/Area Number |
18591880
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
家根 旦有 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (40220199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
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Keywords | 頭頸部癌 / 分子標的 / siRNA / 放射線療法 / 化学療法 / p53遺伝子 / DNA修復タンパク / アポトーシス |
Research Abstract |
NBS1はDNA double-strand breaks(DSBs)を修復する重要な酵素の一つで、homologous recombination repairやnon-homologous end-joining repairにおいて重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、NBS1の詳細な働きについては明らかでない部分も多く、放射線感受性との関連についても明らかではない。そこでNBS1を標的としたsiRNAを細胞内導入し、NBS1の発現を阻害することによってヒト癌細胞の放射線の感受性を増強できるかどうかについて検討を行った。実験方法は、p53遺伝子型が異なる、ヒト舌癌由来のSAS細胞(正常型p53)に変異型p53を導入した細胞(SAS/mp53)とベクターのみ導入したコントロール細胞(SAS/neo)の2種類を作製した。SAS/mp53細胞の放射線感受性は低く、SAS/neo細胞はSAS/mp53細胞に比べて放射線感受性は高いという性質を有する。これらの放射線感受性の異なる細胞にNBS1のsiRNAを導入した。実験の結果は、siRNAの導入効率は約80%で、NBS1-siRNAによってNBSIタンパクおよび各DNA修復タンパクの蓄積誘導が特異的に抑制された。そして、p53正常型のSAS/neoのみならずp53変異型のSAS/neoでもp53非依存的にNBS1-siRNAによって放射線感受性が増感する現象を認めた。また、NBSIの発現を抑制することによって、癌治療に抵抗する転写因子NK-κBの発現も抑制されることが認められた。以上の結果より、DNA修復タンパクを抑制するNBS1-siRNAを用いることによって、p53非依存的に放射線を増感することが明らかとなり、放射線抵抗性の癌細胞にも感受性を増感することが示唆された。
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