2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける舌の反射性運動の発現と、その新しい臨床応用についての基礎的研究
Project/Area Number |
18591890
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三枝 英人 日本医科大学, 医学部, 講師 (70287712)
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Keywords | ヒト舌 / 構音運動 / 舌前後運動 / 舌前後運動 / 嚥下運動 / 機能生理学 / 機能解剖学 / 比較解剖学 |
Research Abstract |
(1)舌の前後運動について、以前から、仰臥位において、舌前方運動に携わるオトガイ舌筋の筋活動が反射性に増大することが知られていたが、それと共に、既に我々が明らかにした舌後方運動に携わる上咽頭収縮筋〜横舌筋の筋活動とが、体位変換に伴い、構音運動時にどのように反射性に制御されうるかを機能生理学的に明らかにした(Kokawa T, Saigusa H, et al. 2006)。また、舌後方運動の神経機構については、機能解剖学的研究を進め、舌咽神経の分枝が関与している可能性が高く、現在、神経線維解析及び大切片標本の作製により、その詳細を追跡中である。 (2)舌の上下運動については、機能解剖学的研究を進めた結果、茎突舌筋と垂直舌筋、更に舌尖部においては、これに加えて上縦舌筋、下縦舌筋の筋活動が関与している可能性が高いことが明らかになった。更に、筋電図、咬合圧、舌運動の超音波モニターにより、舌尖の下方運動が、閉口時に側頭筋水平部から中脳を介して、茎突舌筋、垂直舌筋を反射性に制御し発現し得ることを明らかにした。 (3)舌と咽頭、舌骨上・下筋群等の周囲器官、組織との反射性制御による関係については、正常人を用いて積分筋電図、嚥下内圧検査、内視鏡モニターを用いて、体位変換に伴い、反射性に制御され得る要素のあることが判明した。これについては今後、更に解析を進める予定である。 (4)比較解剖学、個体発生・成長形態学の観点からも、舌の運動機構の由来解明を目指しているが、舌は、鰓腸腹側から派生するものを原型とし、その結果、当然鰓弓神経と筋が分布すること、第一・二鰓弓神経・筋が体壁前方外側へ進出することにより、二次的に体壁筋が舌へ分布し始めた可能性を示した。これらの所見は、舌が他の横紋筋と同じく、反射性に制御されうることを示しているものと考えている。
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