2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける舌の反射性運動の発現と、その新しい臨床応用についての基礎的研究
Project/Area Number |
18591890
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三枝 英人 Nippon Medical School, 医学部, 講師 (70287712)
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Keywords | ヒト舌 / 反射性運動 / 茎突舌筋 / 下顎 / 運動障害性構音障害 / 嚥下障害 |
Research Abstract |
過去三年間に行ったヒトにおける4つの外舌筋、4つの内舌筋についての神経支配、発生学的由来についての知見を更に検討し、それらの所見から各舌筋ごとの特有な運動機能、反射性運動制御機構の存在について筋電図を中心とした生理学的解析を行った。また、舌近と周囲組織、もしくは器官との連動運動についての解析も進めた。 その結果、下顎運動、下顎の位置と茎突舌筋の運動、筋緊張の関係、茎突舌筋とオトガイ舌筋の舌前方に向かう筋線維との拮抗的について、明らかにした。下顎が下制、もしくは内側翼突筋の緊張により、下顎の前方への変位がある時に、反射的に茎突舌筋の緊張が強まり、舌が後上方へ変位し、加えてこれと拮抗関係にあるオトガイ舌筋の舌前方に向かう筋線維の緊張が二次的に反射的要素を持って強まるため、舌運動性が悪くなり、構音時の舌運動速度が低下すること、構音時の運動距離の低下を招くため、結果として構音の歪みを生む場合の多いことが明らかになった。 この現象は、臨床的にも確認されたが、更にこれらの舌筋の筋緊張を緩和させるような機能訓練を行うと、従来から行われていた構音訓練を数年間行い無効であった構音が速やかに、かつ著明に改善する例の多いことが見出された(両側被殻出血後、頭部外傷例、両側脳梗塞例など)。今後、本研究の成果をまとめ、ヒト舌運動障害に対する反射性運動制御を利用した新しい機能訓練が開発され、脳血管障害や頭部外傷後に生じた運動障害性構音障害、嚥下障害に対する有用な機能訓練法の開発されることが期待される。
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Research Products
(5 results)