2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄移植および並体結合を用いた老人性難聴予防機序の検討
Project/Area Number |
18591895
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岩井 大 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10232638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70115947)
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Keywords | 難聴 / 並体結合 / 骨髄移植 / 免疫担当細胞 / 螺旋神経節 / 老化 |
Research Abstract |
(1)早期老人性難聴モデルマウス(SAMP1)において、3徴候-進行性の免疫能低下、難聴、螺旋神経節細胞(SGC)萎縮一を観察した。 (2)計画通り並体結合(SAMP1-C3H)マウスを用い実験を行った。並体結合されたマウスは比較的早期に死亡し、個体数確保と長期観察が難しいという問題が生じたため、もう一つの実験系としてSAMP1に同系(SAMP1)の脾細胞を接種する系を作製した。ここでは、A群(無処置)と、B群(old SAMP1の脾細胞を接種)、C群(young SAMP1の脾細胞を接種)の3群を用いた。A、B群間では上記3徴候が進行し、両群で有意差は認められなかったのに対し、C群ではこれらの徴候は有意に阻止された。並体結合マウスにおいても,個体数が少なく有意差は出なかつたが、同様の傾向が認められた。今回の結果より、難聴に関与する因子として、SGCの萎縮.老化促進因子でなく、SGC維持因子が考えられ、この因子をyoungSAMP1やC3Hの脾細胞が分泌していると推定される。 (3)骨髄移植については、まず聴力正常マウス(BALB/c)に放射線照射してこのマウスの骨髄・免疫担当細胞を除去した。次にこのマウスにSAMP1からの骨髄を移植(骨髄移植)すると、移植後6ヶ月で難聴が生じた。したがって、このホストでは上述の維持因子が枯渇したものと考えられる。 (4)SCIDにold SAMP1の脾細胞を接種しても難聴発症は明確でなかった。SCIDが先天的T・B細胞欠損マウスであることから、これら以外の細胞からも維持因子が産生されていると考えられる。 以上、当初の実験計画より若干の変更はあつたが、SAMP1の早期老人性難i聴には、脾の免疫担当細胞が分泌するSGC維持因子の産生低下が関与していると考えられ、今後、この結論の確認と同時に、維持因子とこの因子を産生する細胞との同定操作に移りたい。
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