2006 Fiscal Year Annual Research Report
フローサイトメトリーにより分離した蝸牛線維細胞のタイプ別細胞の性状および機能解析
Project/Area Number |
18591900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
幸池 浩子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部聴覚障害研究室, 研究員 (70415892)
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Keywords | フローサイトメトリー / 蝸牛外側壁線維細胞 |
Research Abstract |
目的 これまでの研究により蝸牛外側壁線維細胞は、内耳のイオン環境を維持するために重要な役割を果たしている。しかし、タイプIからタイプIVまで分類された各タイプ別線維細胞の機能に関して、不明な点が多い。本研究ではプロスペクティブな解析ツールとしてフローサイトメトリーの手法を用い、希少な線維細胞の表面抗原の特異性を最大限に活用し、タイプ別に分離・純化することは、外側壁傷害を原因とする難聴モデル動物の病態解明に大いに役立つものと期待できる。本研究では上記の手法に基づき、純化した初代培養系を確立し、外側壁傷害難聴動物モデルにおける薬剤傷害の分子機構の解明を目的とする。 研究成果 1.幼若および成熟マウス蝸牛外側壁繊維細胞のタイブ別細胞分離法の確立 C3Hマウス・6週齢(♂)の蝸牛外側壁より取り出した線維細胞を培養すると、線維細胞は培養7日目までに培養開始時の2倍に増殖し、培養後13日目には凡そ10倍の増殖を示すことが明らかとなった。 線維細胞特異的マーカー即ちNa-K-ATPase, NKCC1, Vimentinで細胞染色を行うと、培養した細胞では全タイプの細胞が含まれることが証明された。なお、今年度は成熟マウスの培養系を確立した。 2.蝸牛外側壁線維細胞のタイプ別細胞分離とその性状解析 フローサイトメトリーの手法を活用し、タイプ別に細胞を分取することを試みたが、機器利用施設に細胞を持ち運ぶことで細胞の生存率が低下するため、タイプ別に分取するまでに到っていない。そこで、現在細胞表面マーカーを用いる以前に、培養線維細胞中での幹細胞様細胞の有無をHoechst33342という蛍光色素を用い、線維細胞の性状解析を試みている。その結果、蝸牛内にも多臓器でも言われているようなこの色素の排出能力の高い幹細胞活性を持つ細胞集団の存在が確認された。 3.分離した幼若および成熟マウス蝸牛外側壁線維細胞のタイプ別線維細胞の培養法の確立 2.と同じ理由でタイプ別線維細胞の培養法の確立には到っていない。
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