2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病動物を用いた網膜の機能変化と網膜症発症のメカニズムの解明
Project/Area Number |
18591904
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
吉田 晃敏 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70125417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 淳士 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (90422047)
佐藤 栄一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80422046)
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Keywords | 糖尿病 / 医療・福祉 / 網膜血流 / プロレニン / 血管内皮 / NO |
Research Abstract |
1)2型糖尿病患者における網膜循環動態の評価 1.レーザードップラ眼底血流(LDを用いて膜血流量RBF)を測定した。糖尿病があり、網膜症なし(NDR)群55名、(59歳)、背景網膜症(BDR)群44名.(58歳),前増殖網膜症(PPDR)群25名(57歳)を対象とした。健常者50名50眼をコントロール群とした。RBFは、コントロール群(11.9μl/min)に比べ、NDR群(10.01/min)、BDR群(9.61/min)で、一意に低下していたが(p<0.05>PPDR群(11.8/min)は、コントロール群と比べ有意差はなかった。このことから、網膜症のない、あるいは単純網膜症を有する糖尿病患者では網膜動脈血流量が低下していることが明らかとなった。 2.網膜症患者の網膜と血中プロレニン(PR)値との関連を検討した。網膜症のない糖尿病患者(男性100名、女性106名)を対象とした。RBF測定はLDVを用い、血中PR値測定は、直接抗体活性化プロレニン測定法を用いて行った。RBFとPRの間にはY=263.4-7.8X(Y軸=PR、X軸=RBF)(相関係数r=0.4,p<0.001)の回帰式で表され、有意な相関を認めた。これらより、血中PR値が上昇するほど、網膜血流量が低下することが判明した。糖尿病網膜症の発症にプロレニン様活性の関写が示唆された。 2)ネコを用いた基礎実験系 血管内皮機能の評価法の確立を目的とした成ネコ14匹14眼(1.9-4.0kg)を用いて10分間の高酸素負荷(100酸素吸入)をおこない、負荷解除後の網膜動脈拡張反応の血管内皮の関与について検討した。非選択的NOS阻害剤L-NAME(100mM,50μ1,n=7)を硝子体注し、nNOS選択的阻害剤7-NI(50mg/kg, n=7)は腹腔内投与した。LDVを用いて網膜血流量を算出した。 『高酸素負荷後の網膜血流回復に対するNOSの関与』 L-NAME投与群でベースラインより29.5±3.9%の減少を示しており、両群間に有意差を認めた。 7-NIの投与の有無で、両群間に有意差は認めなかった。 高酸素負荷後の網膜血管拡張反応は内皮型NOSの関与が示唆され、血管内皮依存性であることが推測された。糖尿病患者の高酸素負荷後の網膜血管拡張反応をみることにより、血管内皮機能の評価が可能であると考えられた。
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Research Products
(4 results)