2007 Fiscal Year Annual Research Report
異なる刺激がサブタイプ特異的に網膜神経節細胞死をもたらす仕組みの解明
Project/Area Number |
18591909
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
若林 毅俊 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (90302421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小阪 淳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (40243216)
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Keywords | 網膜神経節細胞 / BH3-only protein / Bim / ラット / フェレット |
Research Abstract |
網膜神経節細胞(RGC)には細胞体の大きさといった形態学的特徴と電気生理学的特性が異なる複数のサブタイプが存在し、疾患により異なるサブタイプが選択的に細胞死に陥る。RGCの軸索である視神経を切断した場合、小型のRGCが細胞死に陥りやすい。一方、眼圧上昇では、大型のRGCが選択的に傷害されることが知られている。これらの細胞死にはアポトーシスが関与する。アポトーシスの決定にはBH3-onlyproteinが関与するが、前年までの研究により疾患によって異なるBH3-only proteinのmRNAが発現上昇することを明らかにした。今年度は、BH3-only proteinの一種Bimに注目し、発現するRGCのサブタイプや網膜内分布を網膜伸展標本上で明らかにすることを目指した。ラット網膜では、視神経切断後にRGCでBimタンパクが発現することがわかった。また、細胞体の面積が200μm^2以下のRGCではBim陽性細胞は30%なのに対し、220μm^2以上のRGCではBim発現は7%と、明らかに細胞体が小型のサブタイプでBimがより多くの細胞に発現していた。RGCの形態学的特徴と電気生理学的特性との対応が、より明確となっているフェレットを用いて同様な研究を行った。周辺網膜と、area centralis付近の網膜におけるRGCを比較すると、Bim陽性細胞のうち、細胞体面積が200μm^2以下の細胞は周辺網膜では約80%であるのに対し、area centralisでは95%であり、周辺に比べ, area centralis付近の小型のRGCにBimが選択的に発現されていた。これらの結果は、軸索切断後、小型のRGCが選択的に細胞死に至ること、周辺よりarea centralis付近で小型の細胞が選択的に細胞死に陥るという事実をよく反映している。今回の研究により、BH3-onlyproteinが、サブタイプ特異的な選択的細胞死に深くかかわっていることが強く示唆された。
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